この本を読んで、かつてカゴを手に下げて売り場をふらふら、気になるアルバムを予算の許す限り放り込んでいた時代を思い出した。そして気ままに買ったアルバムをランダムにプレイヤーの放り込んで一喜一憂したそんなある時代の気分を思い出した。買い物の主は小沼純一。売り場はジャズ。十数年にわたってジャズ売り場で買った音楽について語るという体。そういえば当時買い物の成果についてバーで友人たちと話し込んだものだったが話し込む知人に耳を傾けている、そんな気分になる不思議な本だ。読み進むと音楽とは関係ないことばかりが音楽に氾濫する昨今の事情にうんざりした気分が晴れてきた。