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サザン最後の夏フェスの幕が開けた

9月23日。1週間前まで、この日のひたちなか市の天気予報は雨だったが、サザンの晴れ舞台を祝うかのように、天気は気温とともにフェス日和に。時刻は17時30分を回り、日が暮れて深いオレンジに空が染まると、ライブ開演を告げるジングルがモニターに流れ始めた。

サザンオールスターズ最後の夏フェスを見届けるべく会場に集まった5万人が大歓声をあげると、ステージ上にサポートミュージシャンがにこやかな表情で現れ、続いてサザンオールスターズが登場。大喝采の中、5人がステージ前面に集まり、手を繋ぎ、ラインナップする。これぞ、サザンオールスターズ。飾らず、格好つけるわけでもなく、ただ5人がそこに集まり手を挙げるだけで、会場中に笑顔が満ちる。サザンオールスターズ〈最後の夏フェス〉の幕が開けた。

オープニングナンバーは、1978年発表のデビューアルバム『熱い胸さわぎ』に収録された“女呼んでブギ”。5万人のクラップと刻む軽快なリズムに乗せて、令和の時代には不適切にもほどがあるギリギリアウト(!?)の歌詞が弾む。サザンらしさ満載の軽妙なこの曲で幕開けを飾ったことが、今日この時間が楽しく幸せな時間になることを確信させる。

1曲目の演奏が終わり「こんばんは! ロッキン最終日です。良い天気にしてくれて本当にありがとうございます、みなさん! 最後まで残ってくれてありがとう!」と感謝を伝えると「サザンオールスターズです! 新曲聴いてください!」と宣言。2曲目に投下したのは最新楽曲“ジャンヌ・ダルクによろしく”だ。オーバードライブのかかったギターがリフを鳴らし、無骨なバンドサウンドが会場の空気を震わせる。

46年音楽シーンの第一線に立ち、常に新曲で闘ってきた。新曲を生み出しリスナーに届け、進化し続けることにこだわってきたからこそ、今、このステージがある。バックに背負ったモニターには〈SOUTHERN ALL STARS〉の文字だけが写し出され、小細工なし、ロック1本で5万人と向き合うその姿は、国民的ロックバンドたる王者の風格を纏い、間違いなく〈夏の魂〉が燃えていた。 

時代は再びタイムスリップし1980年代の名曲が2曲続く。寸分違わず刻まれる原のピアノリフから始まるマイナー調の“My Foreplay Music”で会場を淫靡なムードに包んだかと思いきや、波の音が流れ“海”のイントロが始まると、会場中を爽やかな風が吹き抜ける。ねっとりした情事と甘酸っぱい恋。これほどまでに曲ごとの振れ幅があるアーティストはサザン以外、未だいないのではないだろうか。

少し話は逸れるが、“海”を披露したのは、2020年6月25日、コロナ禍に行われた無観客配信ライブ〈サザンオールスターズ 特別ライブ2020「Keep Smilin’~皆さん、ありがとうございます!!~」〉以来4年ぶり。当時、未曾有の疫病が世界を襲い、世の中が暗いムードになっている中で真っ先にサザンが大規模無観客配信ライブを行ったことは記憶に新しい。街中ではマスクすることが義務付けられ、もちろんライブには観客はいない。誰しもが苦境に立たされる中で、一筋の希望を灯したライブだったが、あれから数年が経ち、〈ROCK IN JAPAN FESTIVAL〉もコロナ禍以来5年ぶりに同会場での開催に漕ぎつけ、サザンオールスターズのステージには5万人が一同に集まり、マスクを挟まずに笑顔を見せ合えることができた。この環境は、当たり前のようでいて、当たり前ではない、至高の幸せなのである。