
『球体』と向き合って死ぬまで歌い続けていきたい
ライブは折り返しを迎え、フラッシュするライティングが妖しい世界を映し出す“誘蛾灯”、ビートチェンジと転調が繰り返され、ラストにはライオンの如く野太い雄叫びを上げる“クレーター”を経て、白い照明がステージを覆った雄大なバラード“世界”へと辿り着く。三浦がNao’ymtとともに創造した『球体』が、単なる音楽作品やパフォーマンスだけに特化したものではないことを、この時点で我々はしっかり実感していた。


最後のMCで三浦は、「これから未来永劫残り続けていくような、そんなパワーを持った作品をNao’ymtさんが生み出してくださったと思います。僕自身もまだまだこの『球体』というものと向き合って、死ぬまで歌い続けていきたい。自分の人生とともに続けていく、そんなプロジェクトになればいいなと思っています」と、改めて『球体』について語った。その思いは、アルバムを聴き続けているリスナーにも、天王洲に足を運んだ観客にも、そしてYouTubeの生配信を通じてステージを見守っている人にも届いているはずだ。
最後に披露されたのは、“朝が来るのではなく、夜が明けるだけ”。キーボードの鍵盤を優しく打鍵しながら歌う三浦の表情からは、ここまでステージをやり切った充実感と同時に、再びここから『球体』を追求し続けるという覚悟が感じられた。『球体』で描かれる物語が始まりと終わりを繰り返す円環を成すように、三浦も日々何かにピリオドを打ち、また新たなスタートラインに立ち続けているのだろう。

ただ、個人的にこの日のステージで最も胸を打った瞬間は、三浦とDJ DAISHIZENがステージから去ったあとだった。まだスピーカーからは『球体』のエンドロール的ポジションの“おかえり”が鳴り響いており、観客はその最後の一音が聴こえなくなるまでしっかりとステージを見続けていたのだ。波の音と船の汽笛で幕を閉じる『球体』という作品、その本質を皆が共有していることに心底驚いた。
天王洲の街灯りを背に三浦大知が熱演した『球体』のライブパフォーマンス。『球体』という1つのアートフォームがこの先どのような形で表現されるのか。次回見るときには、また異なる『球体』を目撃できるに違いない。


SETLIST
三浦大知『球体』ライブパフォーマンス in MYAF2024 supported by Art Brain Company
1. 序詞
2. 淡水魚
3. テレパシー
4. 飛行船
5. 誘蛾灯
6. クレーター
7. 世界
8. 朝が来るのではなく、夜が明けるだけ