その声はいよいよ躍動し、その身体はますます雄弁に物語る。20年以上の時を経て、一つの節目に『BEST』を贈る三浦大知。我々はその栄光を見届けることができる!
「自分がやっていることは変わってなくて、チームとして〈何かカッコイイの作りたいよね〉っていうところから、〈こんなことやってみたらおもしろくない?〉とか〈これをライヴでやったらみんな絶対楽しい〉っていうことに向き合ってきていて、それが自分たちの一番の武器だと思ってます。それをずっと続けていたら、このタイミングで改めてフォーカスを当てていただいて、自分たちが積み重ねてきたものをおもしろがってもらえてる、っていう感じだから、それは良かったって凄く思ってますね。昨日今日始めたことではないので(笑)」。
自身を巡る好況や周辺の熱狂に対しても、三浦大知は極めて冷静だ。実際、初めてオリコン・チャートを制した“EXCITE”のヒットや「紅白歌合戦」初出場といった昨年の象徴的な出来事もあって音楽番組からヴァラエティーまでお茶の間への露出は急増し、評論筋からの音楽的な賞賛も“Cry & Fight”(2016年)あたりから俄に高まってきた観はある。ただ、そうした状況の好転が世間的な目を引き寄せる以前から、彼は日本武道館や横浜アリーナでの公演も成功させてきたわけだし、そうでなくても継続的な作品リリースとライヴによって、最上級のエンターテイナーとして着実に歩を進めてきたのは言うまでもない。そんな自負は「昨日今日始めたことではない」という言葉の通り、20年を超えるキャリアの上に積み重ねられてきたものなのだ。そんな三浦大知にとって初のベスト・アルバム『BEST』がここにきて登場したことは、結果的に最高のタイミングと言えるだろう。Folderの一員としてデビューしたのが97年、活動休止を挿んでソロ・アーティストとして再デビューしたのが2005年。一口で語るには長いキャリアだが、いまからその歩みを振り返るのに遅すぎるということは当然ない。