シカゴ出身の女流シンガー・ソングライターが放った約3年半ぶり、ジャグジャグウォーから2枚目となるニュー・アルバムだ。ジャスティン・ヴァーノンとのデュエット・ソングも聴くことができた前作『Grown Unknown』では、まさに〈女版ボン・イヴェール〉と言えるような幻想的で物憂げなインディー・フォークを標榜していたが、今回は何と収録曲の半分のプロデュースをクラムス・カジノに依頼して大胆に路線変更。トロピカル・ポップ風味のエレクトロニカ・サウンドを展開している。曲によってはグライムス的なアトモスフィアやビーチ・ハウスにも通じるメランコリアを漂わせるが、“Magick”あたりに顕著なように全体の印象はさしずめ〈トライバルなコクトー・ツインズ〉といったところ。