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人間の普遍的な〈めちゃくちゃ性〉

――自分が持っている唯一の球を投げるスタイル、というのは2組にとって重要な話ですね。

田澤「僕、建築関係の仕事をしてて。ある時、遠い現場から車で帰ってて、おじいちゃんを乗せてたんです。その時、ラブワンダーランドのアルバムをかけてたんですよね。そしたら、おじいちゃんがノってきて、ペットボトルで膝を打ち鳴らしはじめて。でも、おじいちゃんだからリズムが取れないんですよね」

――ラブワンダーランドはレゲエですしね(笑)。

田澤「それで、人間って年老いてくと最終的にめちゃくちゃになっちゃうんだって思ったんです。人間って生まれた時もめちゃくちゃで、子どもの頃もそうじゃないですか。大人になるにつれて〈めちゃくちゃ性〉を抑えて過ごすようになるけど、結局、人間って生まれてから死ぬまでめちゃくちゃだって思うんです。

良い人とか悪い人とか、犯罪者とか聖職者とかミュージシャンとか、色んな肩書きがあるけど、実際、誰も枠に収まることはできないなって。そういう、人間がそもそもめちゃくちゃだってことは、全員に共通してると思うんです。

それで、本日休演のライブを見た時もめちゃくちゃだったんですよね」

岩出「(笑)」

田澤「ほんとにプリミティブな衝動があって、僕はそれを普遍性って言うんじゃないかなって思いました。〈一般的である〉ってことと真逆なんじゃないかなって。

僕はそういう表現をやりたいと思ってるし、そういう人間の普遍的な〈めちゃくちゃ性〉がリアルに伝わってくる表現を見られるのが一番嬉しいんです。それが〈生〉、生きるってことかもしれないし、そういうのをやるしかないってずっと思ってるんですね。〈生きる〉なんて言うと大袈裟だけど、でも壮大なイメージじゃないんです」

岩出「……感動したわ」

田澤「(笑)。それをスカムと言うのかもしれないし」

岩出「なるほどね。スカムはいいよ(笑)」

田澤「この前、岩出さんたちと下北沢のカレー屋さんに行った時、ジェームス・チャンスが死んじゃってすぐの頃で、岩出さんに〈ジェームス・チャンスは最近もMVを出してた〉って教えてもらって」

岩出「あれヤバいよね(笑)。最高」

田澤「手を前にやったりうしろにやったり、足をちょっと上げたりしてるだけの映像で。めちゃくちゃになっちゃってて悲しいけど、悲しすぎて笑っちゃう感じが衝撃的でした(笑)。あの面白さが本日休演にも通じるって思ったんです」

岩出「最終的にああなれたらって思ってるから(笑)。あそこまで行かないとね」

――田澤さんが言った〈めちゃくちゃ性〉は面白いですね。私たちは社会的なペルソナやキャラクターを作り上げて他人とコミュニケーションを取り、社会生活を送っていますが、実際、内面では色々なものがとぐろを巻いている。天国旅行の音楽は、そういう内側でとぐろを巻いている混沌としたものを表現している感じがします。

田澤「そうなってたら嬉しいですね」

岩出「2ndの1曲目の“激突”は、一音聴いただけでそんな感じがしましたね」

 

音へのこだわりを貫く本日休演の新作

――ところで現在制作中だという本日休演の新作はどんな感じになりそうですか?

岩出「自分でミックスやボーカル録りもやろうと思ってます。レコーディングスタジオだと時間を気にしたり、遠慮しちゃって〈これでいいか〉ってなったりするから、そういうのがないからいいかなって。自分が出したい音の質感はあるけど、それをエンジニアの人に言葉で伝えるのが苦手で、一回自分でとことんやりたいんですよね」

田澤「最近の本日休演の曲はパンクな感じじゃないですか?」

岩出「そういう曲もあるね。でも、どうなるか俺も全然わかんないわ(笑)。メンバーが3人になって余計な音を入れないでいいんじゃないかって気持ちにもなったし」

田澤「3ピースってめっちゃかっこいいと思います」

岩出「サンキュー」