2025年2月9日(日)に京都・拾得でワンマンライブを開催する台風クラブ。2023年に2nd『アルバム第二集』をリリースして以降、メンバーの生活などは変化や転機を迎えながらも、さまざまな場所でライブをおこない、新曲も演奏してきた。
〈現在のメンバーで活動を始めてから10周年〉という点は3人にとってあまり意味がないようだが、そんな2025年を前に、バンド練習後の3人が2024年末の忘年会で語り合った。聞き手は、レーベルNEWFOLKを主宰する須藤朋寿が務める。 *Mikiki編集部

人生の凸と凹にはまるのが台風クラブ
――じゃあ、お願いします。
石塚淳(歌とギター)「2024(にーまるにーよん)、お疲れ様っした!」
(全員で乾杯)
石塚「(ビールを飲んで)あっ、うまい~! (メニューを見て)概ねいけますわ。一巡ぐらい」
――お刺身頼みまーす。
石塚「(即答で)ブリと中落ち。(店員に)すみませーん! 牛すじ大根と、アジの南蛮漬けと、中落ちと、ブリの刺身と、ニラ玉水餃子」
山本啓太(ベース)「お刺身は2人前ずつお願いします」
――あとクジラ刺し。
石塚「揚げナス」
伊奈昌宏(ドラムス)「牛すじ大根」
石塚「それ言った!」
――2人前お願いします。
山本「あとハイボールください。角ハイで」
――早いですね。
山本「3杯までいけるから」
――では改めて……。3人揃ってのインタビュー取材は2ndを出すタイミングに受けたものが最後なので、1年以上経っています。その後、ツアーで全国各地を回り、さらにメンバーの住まいが東西に分かれて遠距離になったじゃないですか(現在、石塚が京都在住、山本が埼玉在住、伊奈が東京在住)。バンドの体制が変わってからは大変でしたか?
石塚「おれは運転ができるから好都合」
――練習するにしても都合を合わせるのが大変になったと思うのですが、意外と苦労はしてない?
石塚「そうでもない。己の人生の凸凹の、凸と凹にはまるのが台風クラブやから」
――……ほかの2人は全然ピンときてない(笑)?
山本「そんなことないよ」
伊奈「おれはピンときてない」
石塚「遠距離になるって決まったときのほうが大変やった。でも、無理くりスケジュールを入れて」
山本「もうおじさんやから、経費とかおいといて、1台の車で移動せんでええのは気持ち的に楽。石塚だって移動の途中でいろんなとこに寄ったりしてるやん。バンドは大事だけど、活動の前後にある個々の楽しみも大事だから」
石塚「(店員に)すみませーん。生2つください」
――そして、そんな中でも新曲もできてきて。……できたよね(笑)?
山本「別にタブーじゃないから、新曲は(笑)」
伊奈「須藤さんは〈曲数が少ないぞ〉って言える立場だからね」
――そういう圧じゃないです(笑)。活動が停滞しなきゃいいなとは思ってましたが、なんだかんだで2024年も10本以上ライブをやりました。みんなを取り巻く環境が変わっても。
石塚「1年で3回転職するって、だいぶやで。でも、台風クラブは凹にはまるから大丈夫」
伊奈「それ、まだピンときてないわ」
石塚「つまり、停滞とか進歩とかは関係ない」
伊奈「なるほどね」
山本「今年はおれも会社辞めたし」
――みんなの生活スタイルが大きく変わった時期を経て、台風クラブとしての活動をこの先も続けられそうな感触はあります?
石塚「続けられそうかどうかはぜんぜん関係ない。8年ぐらい活動できなくても9年目にスタジオに入れる。今日が最後の練習やったかもしれん」
――(笑)。そんな中、2025年で現メンバーでの活動10周年という節目を迎えますが。
石塚「ほんまにおれは進化論的な考えがまったくなくて。いまバンドやアーティスト界隈でよく投げかけられる言葉、語られる言語は、おれらにはまったくかすらん」
――10周年とかそういう区切りはまったくピンときてないと。
石塚「でもZeppを押さえてるで」
――ぼくに内緒で? 勘弁してくださいよ(笑)。
石塚「もう2,000万払った」
――どうやっても赤字じゃん(笑)。じゃあ、10周年の抱負も展望も特にないですか?
石塚「(手を挙げて)はい、石塚です」
――お願いします。
石塚「ない!」
――ありがとうございます(笑)。伊奈さんと山本さんもないですか?
山本「……ないことはない。10年やったバンドなんて自分は一個もないから」
伊奈「おれもないわ。もう10年経ったんだって」
――感慨はある?
伊奈「感慨はないですね」
石塚「ほんまにない」
山本「10年やってたら、もっとうまくなるもんやと思ってた」
石塚「なっ! これは声を大にして言いたいけど、ジャリ臭さが売りですから。大変よ」
山本「売りなの(笑)?」
――もう10周年の話はこのへんにしましょうか(笑)。
伊奈「すみませんね。おれが台風クラブに入った時は趣味のバンド活動みたいな話やったから」
石塚「そやで。趣味ですよ。NO LIFE, NO MUSIC.よ」
山本「逆に言うと、だからずっとやれてるんですよ。命削ってやる仕事ではないから、ほんとによかったなと」