〈漫画界のユーミン〉吉田まゆみ「アイドルを探せ」40周年 総特集本&傑作集「夏の妹」同時刊行!

 流行の先端を描き、〈漫画界のユーミン〉とも呼ばれる吉田まゆみ。’73年12月「朋の願いはいつ…」でデビューしてから50周年! 今回、菊池桃子主演で’87年に映画化となった「アイドルを探せ」の刊行40周年を記念して、最新2万字インタビュー、江口寿史との盟友対談、カラー図版200点を掲載、マンガ3本を収録、さらに浦沢直樹、上條淳士、久保ミツロウ、ヨシダナツミ(実娘)が特別寄稿した「総特集本」と、家族の愛情を描いた表題作「夏の妹」(原題・金魚のおねがい)、「ロックウェルが笑ってる」、「雨音にワルツを踊ろう」の3篇と描き下ろしマンガ3ページを掲載した「吉田まゆみ傑作集 夏の妹」の2冊が同時発売となった。

吉田まゆみ 『総特集 吉田まゆみ「アイドルを探せ」40周年記念』 河出書房新社(2024)

 「mc Sister」~80年代の「Olive」「POPEYE」などが発信した当時の最新トレンド、ヘアスタイル、ファッションの世界がそのまま作品になった「アイドルを探せ」の登場は大事件であった。圧倒的な画力。そしてカラートーン。まさに時代を創った作品。当時、憧れた都会のDCブランドなど最新流行ファッションにつつまれ、ディテールにまでこだわった描写に痺れた。それでいて、普通の男女の恋愛模様を描いたのだ。またたく間に大ヒット作となった。映画化だけでなく、’85年にはフジテレビでドラマ化もされた。また2万字インタビューではマンガとの出会い、作品世界の裏側を知ることができ、リアルな男女の恋愛模様を紡いだ天才のルーツを知ることができ非常に読み応えのある内容となっている。コメントはすべて素晴らしいのだが、特に江口寿史との対談、上條淳士の寄稿内容に深く感動した。

吉田まゆみ 『吉田まゆみ傑作集 夏の妹』 河出書房新社(2024)

 「夏の妹」など3篇+描き下ろし漫画を収録した「吉田まゆみ傑作集」の表題作を読んで、思わず感涙した。うつくしい絵で描写されているが設定はかなりヘビーである。個人的には懐かしい三軒茶屋の風景など巧すぎる絵にも感動した。総集本に載っている作品だが、世田谷だと弦巻のバス停留所と思われる絵などにも驚いた。今のところ山田太一ドラマ「岸辺のアルバム」の漫画化全2巻が最後の刊行作品となっているが、吉田まゆみの新作がとんでもなく読みたくなった。