

年を取った、と感じたことがある。
しゃぶしゃぶ食べ放題のお店〈しゃぶ葉〉に初めて行ったのは、大学に入学してからすぐ。上級生たちが自分のサークルに新入生を勧誘していた時期で、私は特に入りたいサークルはなかったけど、先輩がご飯を奢ってくれるという話を聞いて、その新入生歓迎会の会場であるしゃぶ葉に、入学式で仲良くなった子と行ってみることにした。
制限時間内でお肉やお寿司が注文し放題、バイキングにはサラダバーやカレーがあって、クレープ、アイス、わたあめなど、スイーツも充実していて、ビュッフェ形式のレストランにあまり行ったことがない私にとって、まるでパラダイスのようだった。アイスホッケーよりも、しゃぶ葉への興味と関心がひたすら高まった1日だった。
とはいえ、その日からしゃぶ葉に行くことはなかったが、先日友人と遊んでいた時にその記憶が突然蘇ってきた。たまたま近くにしゃぶ葉があったので、久しぶりに足を運んでみることにした。


お店に入ると、高校生〜大学生、小さい子どもを連れた家族で大賑わい。周りに私たちくらいの年齢層のお客さんがいないことに少し動揺しながらも席についた。
さらに、ネコ型配膳ロボットが5台くらい動き回っていたのだが、隣の卓で恋バナに夢中の男子高校生が座っていた席がロボットの導線まではみ出していて、身動きが取れなくなって大渋滞が起きていた。時々店員さんが来て、ロボットを手動で動かしていたのだが、私たちはそれが気になって仕方がなかった。
そんななか、自分たちのお肉を絶やすことがないように追加で注文したり、バイキングコーナーまで鍋の食材を調達しに行ったり、ずっと慌ただしく動いているうちに、怒涛の90分間が過ぎていった。
しゃぶしゃぶも他の料理もとてもおいしくて満足したけれど、店を出ると何だか解放されたような気分になった。学生の時、あんなに魅力的だったしゃぶ葉も、どっと疲れるようになってしまったなんて、さすがに時の流れを感じざるを得なかった。
今回紹介したい1曲は、フラワーカンパニーズの“深夜高速”。初めて聴いた高校生の頃は、苦悩を抱えながらも未来へ希望を持って突き進むキラキラとした人物像が浮かび上がったけれど、いま聴くと歌詞の内容がリアルに感じ、泥臭い印象を受ける。
あの時食べたしゃぶしゃぶも、あの時聴いた音楽も。
偶然の出来事でも、将来振り返った時に生きていることを実感できる要素になるなら、ひとつひとつの瞬間を見逃したくないと思う。

【写真と文】hana:8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。EP『LIFE GOES ON e.p.』(ビクター)も好評リリース中のlyrical schoolですが、4月19日(日)に東京・恵比寿LIQUIDROOMで行われるワンマンをもって解散することが発表されました。最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて!
