ニューアルバム『Invincible Shield』を引っ提げて、ジューダス・プリーストが2024年12月に来日公演を開催、6年ぶりのツアーを全国5都市でおこないました。今年でデビュー50周年を迎えながらも、英国が世界に誇るヘヴィメタルのレジェンドとして君臨しつづける彼ら。その圧倒的なパフォーマンスの模様を、12月12日の神奈川・横浜ぴあアリーナMM公演を目撃した西山瞳さんが伝えます。 *Mikiki編集部

※写真は2024年12月5日に愛知・名古屋の愛知県芸術劇場 大ホールで開催された公演のものです


 

ヘヴィメタルの基準として存在してきたバンド

ヘヴィメタルってどんな音楽?と聞かれたならば、ジューダス・プリーストの“Painkiller”一曲を聴いてもらえばいいのではないか、というのは、大方のメタルファンの一致するところでしょう。

そのヘヴィメタルの象徴、ジューダス・プリーストが6年ぶりに来日。12月12日のぴあアリーナMM公演に参加しました。

先日のアイアン・メイデンと同様に、メタルゴッド、ヘヴィメタルの始祖が来日するとあらば、駆けつけるのがメタラー。実は私は前回行けなかったので、今回がジューダスのライブ初参加となります。

ほぼ満席のぴあアリーナMM、この日は前方まで椅子があるスタイル。満場の観客が開演を待ちます。開演前BGMはメタルクラシック曲が流れ、ジューダスはこれらヘヴィメタルの基準として長く存在してきたバンドなんだなと思いながら、聴いていました。

 

これぞヘヴィメタル、人間のパワーそのもの

ほぼ定刻に会場の照明が落ちステージ中央の幕が浮かび上がる中、ライトが下から上へゆっくり場内を照らし、1曲目“Panic Attack”のイントロが始まります。イントロのアクセルが全開になると同時に幕が一気に引き上げられ、幕の後ろにドラムを中心に固まっていたバンドが登場。

新譜『Invincible Shield』のオープナーは、ライブの着火剤としても抜群。観客も「Panic attack!」と大合唱で開始です。

間髪おかず“You’ve Got Another Thing Comin’”になだれ込むテンポ感が、また良い。新譜を出したばかりのツアーですが、昔の曲もやってくれるんだ、と嬉しくなりました。

この2曲はシンプルな照明演出、パフォーマンスで、何の脚色をせずともヘヴィメタルは楽曲、パフォーマンスそのものが最大のショーであるということを、見せつけてくれました。これぞヘヴィメタル、人間のパワーそのもの。

そして“Rapid Fire”、“Breaking The Law”、“Riding On The Wind”と、皆が聴きたい旧曲が続き、会場は全員ガッツポーズですよ。こんなに贅沢させてもらっていいんですか?という、セットリストです。

 

〈ヘヴィメタルを聴いているぞ!〉という幸せな実感

ライブで聴くジューダス・プリースト独自のスピード感は、格別ですね。

ロブは動きが大きいパフォーマンスをするわけではありませんし、むしろ泰然としていますが、バンド全体から感じるスピード感、ほとばしる切迫感、緊張感、みなぎる殺気を浴び、〈ヘヴィメタルを聴いているぞ!〉という実感で幸せになります。曲繋ぎのテンポも非常に気持ち良く進んでいき、ジューダス・プリーストのヘヴィメタル絵巻にライドさせてもらう快感があります。

ロブの歌唱が序盤から徐々に蛇口が開くように開放されていき、全編ハイトーンの“Riding On The Wind”は驚きました。なんでこんなに仕上がってるの?!(メタルゴッドだから。というセルフ突っ込み)