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コラム

『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』80年代、ヘヴィメタルは黄金時代だった――タワレコ選曲コンピで味わう豊潤さと奥深さ

『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』80年代、ヘヴィメタルは黄金時代だった――タワレコ選曲コンピで味わう豊潤さと奥深さ

タワーレコードでは、80年代の音楽やカルチャーを取り上げた〈♡80’sキャンペーン〉が開催中だ。当時を体験した者から現代のユースまで、幅広い世代の間で再評価の機運が高まっているこの時代。当時を代表する音楽ジャンルといえば、ヘヴィメタルが挙げられるだろう。ここでは、キャンペーンに合わせて販売されている、タワレコが選曲した80’sメタルのコンピレーションアルバム『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』の魅力を解説する。あの時代のメタルに夢中になった音楽ライターの荒金良介が、本作の聴きどころについて綴った。 *Mikiki編集部

VARIOUS ARTISTS 『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition(タワーレコード限定)』 ソニー(2021)

 

寝ても覚めてもメタル三昧だった黄金時代、80年代

80年代はハードロック/ヘヴィメタル(以下HR/HM)にとって〈百花繚乱〉の黄金時代であった。リリースされる新譜はどれも素晴らしく、音楽雑誌は1文字も逃さずに読み込む。寝ても覚めてもメタル三昧というリアルタイム世代は多かったに違いない。

また、2010年代はBABYMETALの世界規模での活躍もあり、メタルから少し距離を置いていた人が再び熱狂し始め、一方で新たに目覚めた若いリスナーも参入するなど、ここ日本において年々ヘヴィメタル熱は上昇傾向にあると言える。

その機運を受けて、タワレコが初めて80年代HR/HMに特化したコンピレーション盤『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』を発表した。最初に表題を見たときはモーターヘッドの5作目のアルバム『Iron Fist』(82年)をモジったのかと思ったが、そうではないようだ。本作はアルバムのオープニングトラック、つまり〈IRON FIRST〉=鉄板の1曲目に焦点を当てた企画盤になっているのだ。

 

NWOBHMとLAメタル、MTVが生んだムーブメント

隆盛を極めた80’sメタルは、79年にイギリスで起きた〈ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル〉というムーブメントに端を発する。同ムーブメントはアイアン・メイデン、サクソン、デフ・レパードなど数多くのバンドを輩出。その盛り上がりはアメリカにも飛び火し、クワイエット・ライオット、モトリー・クルー、ラット、ドッケンなどが登場。派手なメイクと華美な衣装に身を包んだバンド群はここ日本で〈LAメタル〉という愛称で親しまれた。

そこに追い風を吹かせたのが81年にアメリカで開局したMTV(日本は84年に上陸)の影響力である。ミュージックビデオが最大のプロモーション効果を生み出し、ヘヴィメタルは一躍メインストリームの音楽へと駆け上がった。それがまた世界各国のメタルバンドを触発する形となり、巨大なムーブメントを作り上げていったのだ。

 

イングヴェイ、ジューダス・プリースト、ディオ……教科書レベルのアンセム

本作は元祖・速弾きギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンの4枚目のアルバム『Odyssey』(88年)収録の“Rising Force”で幕を開ける。クラシックの素養を持つ彼らしい流麗なギターが飛び交い、ネオクラシカル系という新領域を開拓したほど強烈なスタイルで魅せる。メタル=速弾きというイメージを植え付けた張本人であり、同時に優れた作曲能力を持ち合わせた稀有な音楽家なのだ。

『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』収録曲イングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォース“Rising Force”

そして、今年結成50周年を迎えたジューダス・プリーストの“Freewheel Burning”(83年)、ディオの“We Rock”(84年)といずれもメタル史を語る上で外せない名ボーカリストの熱唱を堪能できる。前者はハイトーンボーカルの先駆者であるロブ・ハルフォード、後者は演歌ばりのコブシを効かせた歌唱力を誇る故ロニー・ジェイムズ・ディオだ。この2曲は教科書レベルの必須チューン。

『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』収録曲ジューダス・プリースト“Freewheel Burning”

『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』収録曲ディオ“We Rock”

さらにクワイエット・ライオットの全米1位を記録したサードアルバム『Metal Health』(83年、邦題:メタル・ヘルス〜ランディ・ローズに捧ぐ~)の表題曲は重厚なコーラスも相まって、シンガロング必至の盛り上がる1曲。それに続くドッケンの“Kiss Of Death”(87年)はジョージ・リンチによるエッジ際立つギターリフをフィーチャーした灼熱のアンセムナンバーである。

『IRON FIRST - 80’s HR/HM Edition』収録曲ドッケン“Kiss Of Death”