ついに日本にやってきたアイアン・メイデン。来日ツアー〈IRON MAIDEN THE FUTURE AND PAST WORLD TOUR 2024〉が、9月22日の愛知・スカイホール豊田公演からスタートしている。今回は、メタル連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉を担当しているジャズピアニストの西山瞳が、昨日9月24日の大阪公演を目撃。ライブの感動を速報で伝えてくれた。 *Mikiki編集部

※写真は愛知公演のものです


 

大阪へメイデンを歓迎しに行かなきゃ!

〈IRON MAIDEN THE FUTURE AND PAST WORLD TOUR 2024〉@大阪城ホール公演へ行ってきました。

東京在住の私が大阪のチケットを取ったのは、大阪出身の人間として、〈大阪城ホールでのアイアン・メイデン〉が見たかったからです。

大阪で一番大きな音楽公演の会場といえば、大阪城ホール。私にとって、東京のホールよりも馴染みと愛着がある会場だし、その名の通り。大阪のアイコン・大阪城(大阪の人には〈上沼恵美子の家〉でお馴染み)の隣。なんとなく大阪人のアイデンティティ的なものと結びつき、ここにアイアン・メイデンが来てくれるだけで、歓迎しに行かなきゃ!という気持ちになりました。

 

過去と現在のメイデンが交錯

ということで、前回、2016年の両国国技館公演以来、8年ぶりの来日公演を見てきました。事前にSOLD OUTとは書かれていませんでしたが、会場を見渡すと、ほぼ満席です。おそらく私のように、わざわざ大阪に帰って見に来ている人もいるはず。

開演前に定番で流れるUFOの“Doctor Doctor”から開放的な明るい盛り上がりで、これだけで大阪に見に来て良かったなと思いました。大阪のお客さん、明るくて最高よ。

ワールドツアーのセットリストはSNSなどでかなりシェアされているので、もうご存知の方も多いと思いますが、1986年作『Somewhere In Time』の曲と、2021年の最新作『Senjutsu』を中心に組まれており、これが見事でした。

アルバム『Senjutsu』は壮大な歴史ロマンや叙情詩のような、重い風格のある内容でした。直接的にケルト風味な曲もありますが、他の曲もギターの使い方がどこかエキゾチックな曲が多く、アメリカのバンドには出せない重厚な色合いと、ヨーロッパの土地の歴史や重みを想起させるもの。

対して『Somewhere In Time』は、ジャケットからもわかるように当時の近未来感を意識し、シンセベースなども取り入れた、明るくキャッチーなメロディが多い名作です。

この2作品により〈現在から想像する過去〉、〈過去から想像した未来〉が交錯するようなプログラムになっており、それが今ここにいる全員のパワーで、シームレスに進んでいくようになっている。過去のアイアン・メイデンと現在のアイアン・メイデンがお互いに向き合っているような、そんな風にも感じました。

 

人間の力、生の交歓に1曲目から泣きました

もちろん、旧曲を知っている人ばかりではないし、最新作をあまり聴いていないオールドファンも沢山いたと思いますが、両者を繋ぐのはバンドの圧倒的なパフォーマンスと、そのパワーに引き上げられる観衆。全てのパワーが相互に作用し、ここにいる皆で時代を乗り越えている感がありました。こんな大局的な視点でプログラムを組めるなんて、やはり歴史の長い偉大なバンドだなと、そう考えただけで、ぶわっと涙が出てきたりして。

そう、私は1曲目から始終泣いていました。何でしょうね、この人間の莫大なエネルギーに触れたら、体からとめどなく水分が出る現象は。

今年一番、人力で音楽をすることの尊さを感じたと言っても、過言ではありません。

発する音全てが、人間の力そのものでした。汗水垂らして練習し、己の限界を超えようとし、観客に喜んでもらうために考え抜き、最高のパフォーマンスをすること数十年。長年の信頼で3人で回していくギターソロ、その後に何の迷いもなく全力で飛び込んでくるブルース・ディッキンソン、観客をしっかり見てリーダーとして引っ張るスティーヴ・ハリス、バンドを包容するニコ・マクブレインのドラミング、全てが人間にしかできない〈交歓〉で、人と生きることそのもの。これは音源だけだと絶対にわからないです。

ライブでアイアン・メイデンを聴くという体験は、本当に素晴らしい体験になると、改めて感じた公演でした。まだEXTRA SHOWはチケットがあるようです。行きましょう! 

 


LIVE INFORMATION
IRON MAIDEN
THE FUTURE PAST WORLD TOUR 2024

■東京
2024年9月26日(木)東京・有明 東京ガーデンシアター ※追加チケット販売
開場/開演:18:30/19:30
TICKETS アリーナ前方スタンディング/指定席:30,000円/18,000円(各税込)
お問い合わせ:クリエイティブマン 03-3499-6669

■神奈川
2024年9月28日(土)神奈川・横浜 ぴあアリーナMM ※SOLD OUT!
開場/開演:17:00/18:00
TICKETS アリーナ前方スタンディング/指定席:30,000円(税込/ブロック指定)/18,000円(税込)

■追加公演 神奈川
2024年9月29日(日)神奈川・横浜 ぴあアリーナMM
開場/開演:16:00/17:00
TICKETS アリーナ前方スタンディング/指定席:30,000円(税込/ブロック指定)/18,000円(税込)
お問い合わせ:クリエイティブマン 03-3499-6669

企画・制作:クリエイティブマンプロダクション
協力:ワーナーミュージック・ジャパン

※公演の延期、中止以外での払い戻しはいたしません
※未就学児(6歳未満)のご入場はお断りいたします

公演オフィシャルサイト:https://www.creativeman.co.jp/artist/2024/09ironmaiden/
チケット絶賛発売中!

 


PROFILE: IRON MAIDEN
1975年に英ロンドンで結成、1980年代初頭に起こったニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル・ムーブメント(NWOBHM)を牽引し、1980年代後半から1990年代のメタルブームの立役者としてシーンに多大なる影響を与え、新世紀に入ってからもヘヴィメタル最大のアイコンとしてシーンに君臨し続ける、もっとも成功したメタルバンドがこのアイアン・メイデンだ。1980年に発表したデビュー作『鋼鉄の処女』以降、15作のスタジオアルバムと11作のライブアルバム、その他ベストアルバムやボックスセットなどを発表し、累計アルバムセールスは9,000万枚を超え、ケラング!アワーズやメタル・ハマー・アワーズといったメタル系の賞はもちろんのこと、グラミー賞やブリット・アワードといったジェネラルな音楽賞も併せ夥しい数の賞を受賞している。オリジナルボーカリストであったポール・ディアノが『鋼鉄の処女』、『キラーズ』(1981年)の2作のアルバムを発表したあとに脱退、その後ブルース・ディッキンソンをボーカリストに迎え、1982年に3rdアルバム『魔力の刻印』を発表、全英1位に輝き、その後の快進撃に繋がっていく。1983年に『頭脳改革』、1984年に『パワースレイヴ』、1986年に『サムホエア・イン・タイム』、1988年に『第七の予言』とコンスタントに作品を発表、名実ともにヘヴィメタルの最強バンドとしての地位を築き上げる。その後も1990年に『ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング』、1992年に『フィア・オブ・ザ・ダーク』を発表、人気と実力を揺るぎないものとするが、ここでブルース・ディッキンソンがバンドを脱退、シーンに大きな衝撃を与えた。その後バンドはブレイズ・ベイリーを新たなボーカリストに迎え、1995年に『Xファクター』を、1998年に『ヴァーチャルXI』を発表するが、ブルース在籍時の勢いはなく、しばしの低迷期を迎える。新世紀を迎える頃、ブルース・ディッキンソンとギタリストのエイドリアン・スミスが復帰し、トリプルギター編成となったバンドは、2000年に『ブレイヴ・ニュー・ワールド』、2003年に『死の舞踏』、2006年に『ア・マター・オブ・ライフ・アンド・デス~戦記』とコンスタントに作品を発表し、新旧メタルファンを熱狂させ、世代交流を現実のものにする存在へと上り詰めていく。2010年に発表した『ザ・ファイナル・フロンティア』は全英のみならず世界各国で1位を記録、全米でも4位、日本でも総合チャートで5位を記録し、凄まじい人気を見せつけている。2015年に16作目のアルバムとなる『魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~』をリリース。2週連続で全英1位、日本でもオリコン洋楽チャート1位を記録したこのアルバムに伴うツアーの一環として2016年4月に両国国技館での2公演を開催、両日ともに即日完売の大盛況となった。2018年にワールドツアー〈レガシー・オブ・ザ・ビースト〉をスタートさせ、10年以上ライブでパフォーマンスされていなかった楽曲を織り交ぜたセットリストで世界中を熱狂の渦に巻き込んだ。2021年に日本を主題においた最新作『戦術』を発表、世界各国のチャートを席巻し、圧倒的な存在感をシーンに見せつけた。現在彼らはこの『戦術』と傑作『サムホエア・イン・タイム』にフォーカスしたワールドツアー〈ザ・フューチャー・パスト・ツアー〉を開催しており、世界各国を熱狂の渦に巻き込んでいる。