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小田和正の音楽には〈小田和正しか見えてこない〉

そしてゲストと歌い分けながら披露された“キラキラ”“ラブ・ストーリーは突然に”と、2000年代、1990年代の名曲を聴くたび小田和正というアーティストの特殊性に気づかされる。オフコースとしてニューミュージック全盛期から1989年の解散まで駆け抜け、以降は今にいたるまでソロ活動に邁進しているが、その半世紀以上にわたるキャリアの中で発表した作品の数々は、他の誰とも比較することができない。

ハーモニー、メロディーのアプローチからはサイモン&ガーファンクルやビートルズといった存在が見え、音作りなどからはTOTOやボズ・スキャッグスあたりのウエストコーストな香りを感じとることができる。だが、そうした外的な影響が含まれていたとしても、最終的に私たちへと届く小田の音楽には〈小田和正しか見えてこない〉のが不思議だ。

だからこそ、「クリスマスの約束」は貴重な番組でもあった。小田自身がリスナーとして引っかかった、またはシンガーとして歌いたいと思った楽曲が取り上げられることで、彼の音楽的な感性が表立ってフィーチャーされる場だったからだ。また、小田と共に時代を並走してきた山本潤子、さだまさし、吉田拓郎、ムッシュかまやつ、細野晴臣といった面々との共演を地上波のテレビで見ることができたのも、今考えればとても特別な出来事だったと思う。

最後の「クリスマスの約束」で披露された“言葉にできない”“たしかなこと”のように、孤独と温もりを一度に感じられることができるのも、小田の作品のひとつの特徴かもしれない。特にオフコース時代と大きくアレンジが異なるソロでの“言葉にできない”は、イントロレスで始まる冒頭から曲の世界へと引き込まれていく。鈴木康博のクリアなギター、大間ジローが淡々と刻むバスドラム、ハイライトのひとつでもある松尾一彦のハーモニカなどバンドとしてのアンサンブルを堪能できるオフコース時代のバージョンも、もし聴いたことがない人がいればこの機会にチェックしてみてほしい。

オフコース 『over』 EXPRESS/東芝EMI(1981)

恒例のコーラス曲としてニュー・クリスティ・ミンストレルズ“Today”を再び出演者全員で歌い、最後に披露されたのは“この日のこと”。番組のテーマ曲として2001年の第1回で初披露され、2022年のアルバム『early summer 2022』まで長らく音源化されなかったバラードだ。歌詞のとおり〈今日という この日のことを〉きっと誰もが忘れないことだろう。

小田和正はMCで「〈『クリスマスの約束』を楽しみにしています〉と言ってもらえるうちに番組を終えることにしました。寂しいけれど、きっとそれがいいと思ったのです」と、今年を最後とした理由を述べていた。どこか自分自身を納得させて出した答えという感じが、なんとも彼らしい。

ひとつ大きな物語を閉じた小田だが、2025年には全国を巡るアリーナツアーの開催も控えている。新たに始まるストーリーの中で、また私たちとの間に新しい約束事が生まれるかもしれない。