「サターンリターン」「先生の白い嘘」「地獄のガールフレンド」など、男女の心理描写を軸に本音を描く作家、鳥飼茜。本作は〈妊娠〉、〈中絶〉、〈出産〉をテーマに7年ぶりに再会した大人4人を中心としたサスペンス・ラブコメディ。男女の不均衡、家族や親子の関係性、宿った命の重みを、4人に加えてモラハラ夫、クソ親父、妊娠判明から逃げた元彼、そして怪しい薬で中絶しようとしているJKまで登場し展開。膨大なセリフに圧倒される先が見えない群集劇だ。「妊娠って男と女でするもんなのに見事に女だけの話になっててすごいね」というセリフが出てくる。男性目線で読んでいる自身に気づかされる。