インタビュー

吉澤嘉代子 『幻倶楽部』

変身し続ける少女の妄想は止まらない! ストリッパーや女子中学生、化け猫までが集う〈幻倶楽部〉に潜入捜査してみたら……

吉澤嘉代子 『幻倶楽部』

 妄想する歌姫、吉澤嘉代子。今年5月にリリースされたメジャー・デビュー・ミニ・アルバム『変身少女』で6人(6曲)の恋する少女に変身した彼女の新作『幻倶楽部』は、ますます妄想が止まらない。なにしろ、今回は化け猫やストリッパーまで登場してしまうのだから。

 「等身大の自分を歌うんじゃなくて、曲ごとに物語を作って、そのヒロインになったつもりで歌うのが楽しいんですよね。前作はすごくポップなアルバムにしたいと思って過剰なまでに女の子っぽさを出したんですけど、今回はもっとおどろおどろしい部分とか切ない部分とかを出していきたいと思って。それで前作よりもキャラが立った曲になりました」。

吉澤嘉代子 幻倶楽部 e-stretch(2014)

 全曲の作詞/作曲は彼女が手掛け、プロデュースとアレンジには横山裕章agehasprings)とsugarbeansを起用。曲ごとに、田淵ひさ子bloodthristy butchersTODDLELAMA)、フミPOLYSICS)、田中拡邦MAMALAID RAG)、高田漣伊藤大地SAKEROCK)など多彩なミュージシャンがサポートを務めて、まるで短編小説集みたいにヴァラエティー豊かなアルバムに仕上がった。そんななか、オープニング・ナンバー“ケケケ”で歌われるのは、なんと乙女の敵、〈ムダ毛〉!

 「ふと、〈どうしてムダ毛を剃らないといけないんだろう〉と思ったんですよね。ラヴソングとかドラマで〈私のすべてを見てほしい〉って言ったりするけど、ムダ毛も見せられるんだろうか?とか。そういう世間の常識とかきれいごとに対する反発心から生まれた歌なんです。最初は〈シェイバー〉と〈フィーバー〉と言葉が似ているからディスコっぽいイメージで作ってたんですけど、〈悲劇の戦士〉という歌詞から戦隊ものの主題歌っぽくしようと思って。そういった要素も入ってます」。

 そのほか、「三島由紀夫さんの戯曲『黒蜥蜴』の華麗な文章に影響を受けた」ことに始まり、松任谷由実“真夏の夜の夢”のイメージも下敷きにあるという“シーラカンス通り”では、幻の街で謎めいたストリッパーがエキゾチックなダンスを踊り、アイドル歌謡風のラヴリー・ポップ“恋愛倶楽部”では、「思春期の恋って自意識過剰なので、輝けば輝くほど残酷さが見えるような曲にしたかったんです」と、中学校を舞台に少女漫画的世界を展開。そして、スウィング・ジャズの“ちょっとちょうだい”は〈何でも欲しがる女の子が化け猫だったら?〉というユニークな設定だ。

 「〈ちょっとちょうだい〉という言葉のフレーズが、そのままメロディーになった曲です。猫の歌はずっと作りたいと思っていたんですよね。宮沢賢治の『注文の多い料理店』みたいに怖いオチですけど、子供の頃に飼っていた子ウサギが野良猫に食べられてしまったからかも……。あと、歌詞が伏字になっているのは、山口百恵さんの“美・サイレント”の影響です(笑)」。

 そんなこんなで、彼女のユニークな語り口が楽しめる本作では、昭和歌謡のテイストを織り込んだ多彩なポップセンスも磨きがかかっている。ちなみにアルバム・タイトルは「6つの曲の主人公が集まる秘密の倶楽部、みたいなイメージ」らしいが、ジャケットでルーペを持った彼女は、その謎めいた倶楽部に潜入する探偵なのだ。彼女の名探偵ぶりを、とくとご覧あれ。

 

 

▼関連作品

左から、62年の映画版のDVD「黒蜥蜴」(KADOKAWA)、松任谷由実の93年作『U-miz』(ユニバーサル)、山口百恵の79年作『A Face in a Vision』(ソニー)
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▼『幻倶楽部』に参加したアーティスト関連の作品を一部紹介

左から、bloodthirsty butchersの2013年作『youth(青春)』(キング)、POLYSICSの2014年作『ACTION!!!』(キューン)、MAMALAID RAGの2014年作『So Nice』(ALDENTE)、高田漣が手掛けた2014年のサントラ『グーグーだって猫である』(スピードスター)
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▼吉澤嘉代子の作品

左から、2013年のミニ・アルバム『魔女図鑑』(YAMAHA)、2014年のミニ・アルバム『変身少女』(e-stretch)
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