マーラーの交響曲第10番の全曲演奏への試みはデリック・クックを代表に数々の学者が取り組んでいる。個人的にはこの作曲家カステレッティによる小編成による版が極上と考えている。これまでBISレーベルのヨン・ストゥールゴールズ指揮、そしてintoxicateで紹介したArs Productionレーベルのジュールズ・ゲイル指揮の録音が発表された。今作は、演奏時にN響に在籍していたヴァイオリンの白井圭やホルンの福川伸陽も参加した首席級プレイヤーによる指揮者なしの室内楽での初録音! 甘美で退廃的な音色で身震いするような緊張感のアンサンブルでマーラーの本質を突く素晴らしい音楽となった。