カシオペア/CASIOPEAが、2025年5月に大阪・東京・横浜のビルボードライブを巡るツアーを開催する。〈NEW MEMBER’s GIG〉と題した今回のツアーは、そのタイトル通り新生CASIOPEAのお披露目を兼ねたもので、40年以上にわたるバンド史の新たな1ページをめくる重要な公演となるだろう。

近年の世界的なシティポップブームから伝搬するように起こった日本産フュージョンのリバイバルにおいて、その代表的なアーティストとして名が挙がるカシオペア。現在も唯一のオリジナルメンバーとして在籍している野呂一生(ギター)を筆頭に、各メンバーの卓越した演奏技術は言わずもがな、時に繊細に、時にハードに奏でられるアンサンブルの妙、経年劣化なんて言葉とは無縁な時代を超越するメロディーなど、インストバンドとしての洗練されたポテンシャルは、言語や世代を選ばず、あらゆるリスナーに刺さるものだ。

直近でも、マンチェスターを拠点に活動するサルートが自身のアルバム『TRUE MAGIC』の収録曲“saving flowers”でカシオペアの“ASAYAKE”をサンプリング素材として用いていたのも記憶に新しい。そうしたカシオペアを含むJフュージョンの近年の隆盛についてはMikikiでも特集記事を掲載しているので、そちらも改めてチェックしてもらいたい。

さて今回のCASIOPEAのツアーだが、先に述べた通り、新たなカシオペアを披露する場であることが大きなポイントだ。結成35周年を迎えた2012年にキーボードの向谷実が脱退し、新たに大高清美が加入。これを機にカシオペアから〈CASIOPEA 3rd〉と活動名義を改め、バンドは第3期へと突入した。

CASIOPEA 3rdとしての初作『TA・MA・TE・BOX』(2013年)は、野呂が引き続きメインのソングライターとして手腕を振るいつつも、大高が“AUTOBAHN”、鳴瀬喜博(ベース)が“VORTEX OF EMOTION”、神保彰(ドラムス、サポートメンバーとして活動)が“BRAND NEW SOUL”をそれぞれ楽曲提供。大高のオルガンをフィーチャーするパートも随所に盛り込まれ、全体的にロック色の強い作品に仕上がっている。

CASIOPEA 3rdはコロナ禍を挟み、2022年に神保が卒業、その後任として今井義頼がバンドに合流する。新編成となったことで名義もCASIOPEA-P4とし、第4期が幕を開ける。T.M.RevolutionやKing & Princeなど数多くのアーティストのライブサポートやレコーディングに参加する傍ら、有形ランペイジのメンバーとして活躍していた今井の加入で(平均年齢的な意味も踏まえて)カシオペアも心機一転。とは言いつつもCASIOPEA-P4での初アルバム『NEW TOPICS』(2022年)は、サウンドはフレッシュでありながら、彼らの代名詞とも言えるテンションノートを多用したキメの多いフレーズも存分に堪能することができる。

 

CASIOPEA-P4は2024年に最新アルバム『RIGHT NOW』をリリース。野呂作曲のオープナー“THE TIME HAS COME”をはじめ、鳴瀬による『FULL COLORS』(1991年)制作時の未発表曲をリアレンジした“90’s A GO GO”など、過去と現在のカシオペアが渾然一体となった第4期の最高到達点とも呼べる充実作だ。

そんなCASIOPEA-P4だが、大高が2024年末で卒業し第4期が終了。今年2月に安部潤が新たなキーボード奏者として加入し、活動名義もCASIOPEAとなり第5期がスタートする。なお、大高の卒業ライブを収めた映像作品「P4’S FINALE」が今回のツアー初日、5月2日(金)にリリースされるので、こちらもぜひチェックしてほしい。

CASIOPEA-P4 『P4’S FINALE』 HATS(2024)

新たに加入した安部はFIELD OF VIEWの初期メンバーとして活躍し、以降もアレンジャーやプロデューサーとして数々のヒット作に携わるなど輝かしい経歴の持ち主だ。ちなみに偶然ではあるが、先日筆者が足を運んだ松本伊代のライブでもキーボードを担当していた。会場のサイズ感にあわせた優しいタッチからは楽曲への深い理解が伝わってきた。

複雑なコード進行や転調が頻出する楽曲を、安部を加えた第5期CASIOPEAはどのようにパフォーマンスするのだろうか。新たな歴史が刻まれる瞬間を、ビルボードライブで見届けよう。

 


LIVE INFORMATION
CASIOPEA
NEW MEMBER’s GIG 2025

2025年5月2日(金)ビルボードライブ大阪
1stステージ
開場/開演:16:30/17:30
2ndステージ
開場/開演:19:30/20:30
https://www.billboard-live.com/osaka/show?event_id=ev-20535

2025年5月5日(月・祝)ビルボードライブ東京
1stステージ
開場/開演:15:00/16:00
2ndステージ
開場/開演:18:00/19:00
https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-20533

2025年5月10日(土)ビルボードライブ横浜
1stステージ
開場/開演:15:00/16:00
2ndステージ
開場/開演:18:00/19:00
https://www.billboard-live.com/yokohama/show?event_id=ev-20534

■チケット料金 ※飲食代金別
【大阪公演】
BOXシート:20,500円(ペア販売)
S指定席:9,700円
R指定席:8,600円
カジュアルシート:8,100円(1ドリンク付)

【東京公演】
DXシート Duo:21,600円(ペア販売) ※SOLD OUT
Duoシート:20,500円(ペア販売) ※SOLD OUT
DXシート カウンター:10,800円 ※SOLD OUT
S指定席:9,700円 ※SOLD OUT
R指定席:8,600円
カジュアルシート:8,100円(1ドリンク付)

【横浜公演】
DXシート カウンター:9,700円
S指定席:9,700円
R指定席:8,600円
カジュアル センターシート:9,200円(1ドリンク付)
カジュアル サイドシート:8,100円(1ドリンク付)

※本公演はClub BBL会員、および一般販売をWEB受付のみ実施いたします
※法人会員は電話にてご予約承ります

■メンバー
野呂一生(ギター)
鳴瀬喜博(ベース)
安部潤(キーボード)
今井義頼(ドラムス)