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槇原敬之、小田和正、藤井フミヤ……ミリオンヒットに貢献した90年代

〈J-POP〉という言葉がまだ浸透しきっていなかった1992年、前年に“どんなときも。”“冬がはじまるよ”をヒットさせていた槇原敬之はさらなる名曲を生み出す。それが佐橋がギターで参加した“もう恋なんてしない”だ。オープニングのメロディーをなぞる佐橋のスライドギターは、2コーラス目へと向かうブリッジとアウトロでも顔を出す。

佐橋の証言によれば、このアイデアはジョージ・ハリスンをヒントに槇原らに提案したという。先述したとおり、豊富なアイデアを持つ佐橋だからこそ発案できたとも言えそうで、またそれをビートルズではなくジョージのソロワークから引っ張ってくるあたり、彼が音楽リスナーとしてもどれだけ優れていたのかを証明している。

90年代を代表する名イントロを挙げる際、小田和正“ラブ・ストーリーは突然に”(1991年)、藤井フミヤ“TRUE LOVE”(1993年)の2曲を思い浮かべない人はいないだろう。前者のギターはもはや発明とも言える名フレーズだが、佐橋いわく「なんであのイントロが思いついたのか、実は今でもわからない」とのこと。

イントロばかりに意識がいきがちだが、楽曲後半に突如立ち上がってくるギターソロも絶品だ。小田のボーカルと絡みあうクリアトーンの音色は、この曲のもうひとつのボーカルとも例えることができそうだ。

“ラブ・ストーリーは突然に”と同様に200万枚以上を売り上げた藤井フミヤの代表曲“TRUE LOVE”。佐橋はこの曲のアレンジも手がけているが、かの有名なイントロが変拍子(3拍子+4拍子)となっているのは、デモ音源での藤井の弾き間違えを佐橋がそのまま譜面に起こしたためだ。また、頭のプリング部分を含む流麗なフレーズも、本来ストリングス用のアレンジを佐橋がギターで演奏したものが採用されている。

90年代の佐橋ワークスはこれだけに止まらない。福山雅治“HELLO”、氷室京介“魂を抱いてくれ”、内田有紀“恋愛セラピスト”、山下久美子“TOKYO FANTASIA”などのアレンジに携わり、あまり知られていないところではダウンタウンと坂本龍一らによるユニットGEISHA GIRLSの“少年”、川本真琴“1/2”、KinKi Kids“硝子の少年”などのギターも佐橋が弾いている。

列挙しきれないほどの名曲・名作に関与してきた90年代を経て、2000年代以降も引き続き佐橋の活躍は続いていく。