Page 2 / 3 1ページ目から読む
山下達郎『SEASON’S GREETINGS (2025 Vinyl Edition)』のリリースにあわせて開催されている〈City Pop Up Store SEASON’S GREETINGS〉

シティポップ、80年代アイドル、Jフュージョンの人気ぶり

次に邦楽について。やはり目立つのは、シティポップの名盤である。3位と12位と32位の山下達郎『FOR YOU』『RIDE ON TIME』『POCKET MUSIC』、6位と40位の杏里『Timely!!』『COOOL』が筆頭だ。

竹内まりやは、“PLASTIC LOVE”に象徴されるMOON時代のレコードではなく、35位の『LOVE SONGS』と39位の『UNIVERSITY STREET』というRCA期の作品が意外にも売れている。MOON時代のアナログが手に入りづらくなっていることも関係しているだろうが、カバーも多く定番になっている“SEPTEMBER”(林哲司が作編曲)が前者に、“ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜”(加藤和彦が作曲、山下達郎が編曲)が後者に収録されており、いずれもシティポップ耳で聴きたい作品ではある。

シティポップの流れで着目したいのは、11位の松田聖子『SQUALL』、21位の中森明菜『CRIMSON』、49位の菊池桃子『OCEAN SIDE』というアイドル作品。日本では3人とも1980年代を代表するアイドルだが、彼女たちの作品もやはりシティポップの文脈で求められていると言えるだろう。

松田聖子の1stアルバム『SQUALL』は、冒頭の“~南太平洋~ サンバの香り”からしてグルーヴィだし、“トロピカル・ヒーロー”“潮騒”はメロウ、デビュー曲にして代表曲の一つ“裸足の季節”は軽快なシティポップ/フュージョン風のサウンドである。今剛、松下誠、井上鑑といった演奏陣も注目されていそうだ。中森明菜の『CRIMSON』は、10曲中5曲を竹内まりやが書いており、編曲は椎名和夫。もう半分は、小林明子が作曲、キーパーソンの鷺巣詩郎が編曲している。絶妙に過渡期的なデジタルサウンドとグルーヴィなビートが全編で聴ける名盤だ。菊池桃子は、シティポップ文脈で再評価されたアイドルの筆頭であり、『ADVENTURE』の人気が高いが、デビュー作の『OCEAN SIDE』も林哲司ワークスを象徴する逸品である。

海外で人気が高まっている高中正義の再発レコード

そして、シティポップと人脈が重なることもあって、次なるブームとして海外で注目されているのが日本産のフュージョン、いわゆるJフュージョンだ。フュージョンの再評価についてはMikikiでいくつも記事を作ってきたが、高中正義はその流れの大きなアイコンになっている。今年取材した際も、海外公演の盛り上がりぶりや向こうの熱気を語ってくれた。リストでは、9位の『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』、28位の『T-WAVE』、36位の『JOLLY JIVE』、42位の『alone』、47位の『夏・全・開』と50位中5枚もランクインしている一強状態だ。

それ以外で、2位のYMOは元々海外での知名度が高いことから当然だとしても、18位の『安全地帯IV』、33位の『安全地帯II』、34位の『安全地帯III〜抱きしめたい』と3枚も入っている安全地帯の高い人気は意外な結果だった。これはおそらく、中国を中心にアジア圏で支持されているバンドだからだろう。“ワインレッドの心”“恋の予感”“Friend”といった有名曲は香港でカバーされ、いずれもヒットしている。最初の活動休止前の1988年には香港コロシアムでライブをおこなっているし、その後も彼らは韓国や台湾でコンサートを何度か開催している。1980年代以降、J-POPアーティストは東アジア、東南アジアで高い人気を誇るようになったが、安全地帯はその筆頭なのだ。