竹内まりやの実に10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』が、ついにリリースされた。数々の主題歌やタイアップ曲に加えて杏里や山下達郎とのコラボソング、提供曲のセルフカバーなど18曲が収められた待望の作品集だ。そんな『Precious Days』のリリースに合わせ、Mikikiはタワーレコードのスタッフへ〈竹内まりやと私〉というテーマでコメントを募った。それぞれの人生とともにある〈まりやさんの歌〉を楽しんでほしい。 *Mikiki編集部

※写真は『Precious Days』がリリースされた2024年10月23日の、タワーレコード渋谷店の様子です。展開は変更されている可能性がございますので、ご了承ください

竹内まりや 『Precious Days』 ワーナー(2024)

 

えだおり(モレラ岐阜店)

母の影響で幼少期から竹内まりやさんの楽曲には親しみがありました。

まだ私が小学校に上がる前、某火曜日の夜のドラマの主題歌だった“シングル・アゲイン”を聴いたのが最初の記憶です。
「早く寝なさい」と言われても、まりやさんの歌うエンディングが聴きたくて、わがままを言って起きていた記憶があります。(エンディングだったはず……)
当時は歌詞の意味も分からないのに、耳で聞いたまま鼻歌をよく歌っていました。

大人になってから改めて歌詞を調べて、CDを再度聴きなおして、歌詞の内容(と、かなり大人っぽいことを当時意味も分からず歌っていた自分)に驚いたことは言うまでもありません。
そしてまりやさんの声の良さを再認識しました。

タワレコでパートとして働きだした頃、子供もまだ小さかったので、働きながらの子育てで、少しだけ大変だったころがありました。
仕事で失敗して、落ち込んで家に帰って、子供に癒される。そんなときもありました。

そんなある日、子供の保育園の発表会で、“いのちの歌”を子供が歌いました。
朝ドラでも聴いたことのある歌でしたので、「まりやさんは本当にいい歌詞を書くなあ……ああ、涙出る……」と思って聴いていました。

その子どもが数年後、小学校卒業のタイミングで、再び“いのちの歌”をクラスメイトと歌ったことがきっかけで、まりやさんバージョンの“いのちの歌”を聴きたくなりました。
改めて聴いてみたとき、優しい歌声に本気でボロボロと涙が出ました。

同時に母親と一緒に過ごした子供のころのことを思い出しました。
自分自身が親になってからの視点で竹内まりやさんの数々の楽曲を聴くと、時々甘酸っぱくて、懐かしくて、たまにチクッと痛くて、そしてとてもほっとします。
しばらく会えていない母親と一緒に、またまりやさんの楽曲を聴きたいと思いました。

これからも私の生活の中に、ごく自然にまりやさんの歌声を感じていくと思います。
幼い私の琴線に触れたあの歌声。

若い方にも、まりやさんの音楽を是非沢山聴いていただきたいです。

 

切通雄介(カフェ事業統括部)

2時間サスペンスドラマの最後、犯人と刑事のやりとり(定番は崖)が行われた後に、静かにED曲のイントロが流れ始めるのですが、僕と竹内まりやさんの楽曲との出会いは“シングル・アゲイン”(「火曜サスペンス劇場」の主題歌)でした。

ドラマの感傷に浸っているときに流れる哀愁感あふれるメロディーとまりやさんのボーカルに、1992年、当時中学生だった僕は「火曜サスペンス劇場」を観た後に毎回「また大人の世界に触れてしまった」という気持ちになっていました。

“シングル・アゲイン”が収録されたアルバム『Quiet Life』は、

・“家(うち)に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)”(歌詞〈冷蔵庫の中で 凍りかけた愛を/温めなおしたいのに〉)

・“マンハッタン・キス”(歌詞〈何もかもまるでなかったように シャツを着る/愛しい背中 眺めるの〉)

・“告白”(歌詞〈女心はいつも言葉と/裏はらな企み隠してる〉)

などなど、誰もが一度は経験したことがある(これから経験するかもしれない)儚い想いや感触がたくさんの〈歌詞〉に込められていて、大人になった今、僕にとってますます心に染み入る名盤です。