Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、5人が1曲を厳選し計5曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

 


【鈴木英之介】

Cody・Lee(李) “異星人と熱帯夜”

2021年8月6日(金)より公開される映画「サマーフィルムにのって」の主題歌。ディスコ風の軽快なギター・カッティングが心地よい、爽やかでちょっと感傷的なインディー・ロック・チューン。夏の情景を豊かに喚起する言葉の数々が耳に飛び込んでくる(〈バイパスの湿った空気〉〈ふたりだけのラストダンス〉などはキリンジ“エイリアンズ”からの引用だろうか)。2分55秒あたりからしばらくサイケでスペイシーな展開になるところも、〈異星人〉というモチーフと合っていて面白い。個人的に最近〈映像作品において音楽が果たす演出効果〉というテーマに改めて興味を持っているのもあり、「サマーフィルムにのって」本編との相乗効果で、この曲がスクリーンにおいてどんなふうに響くのか、楽しみにしている。

 

【小峯崇嗣】

お風呂でピーナッツ “A.M.6:00”

ヴォーカリストの樋口可弥子と、ギタリスト/コンポーザーの若林純による音楽ユニット、お風呂でピーナッツがファーストEP『スーパー銭湯』をリリースしました。その作品のラストを飾る楽曲が “A.M.6:00”です。タイトル通り、早朝の爽やかな雰囲気を感じられるサウンドと軽やかなリズムがとても心地よい。ジャズやR&Bの要素を織り交ぜた演奏に深みのある美声が絡みあい、ドラマティックな展開で聴かせる1曲に仕上がっています。

 

【田中亮太】

(((さらうんど))) “Soap Opera”

イルリメこと鴨田潤さんとTraks Boysのおふたりによる(((さらうんど)))が約6年ぶりのEP『Soap Opera』を8月6日(金)にリリース。これは先行公開されている表題曲です。新たなアーティスト写真を見るかぎりK404さんがお休み中っぽいのは残念ですが、不世出のポップ・ユニットの帰還は喜ばしい。この“Soap Opera”は、ブリブリのアシッド・ベースとハイパーなシンセがフレッシュ。〈セカンド・サマー・オブ・ラヴ〉なヴァイブは、いまバッチリなのではないでしょうか。2021年の夏、BlueなCity Boyはレイヴの夢を見る。

 

【酒井優考】

Salan “Secret Base”

2週前に紹介し先日解散したジオラマラジオ。その中心人物lenと、コア・プレイヤーでスティーブン・ビチャルバーグと名乗っていたkaitoによるユニットSalanが早くも始動。ファースト・シングルをリリースしています。正直、メンバーの出入りが自由だったジオラマラジオから何がどれくらい変わったのかは分かっていないのですが、lenくんの青く切ない感じは変わっていないようなので今後が楽しみです。

 

【天野龍太郎】

ゴールデンボンバー “おさかな地獄”

先週、日本の曲で心を動かされたものが2つあって、1つはC.O.S.A.の新曲“Cool Kids”で、もう1つはこのゴールデンボンバーの“おさかな地獄”です。“おさかな天国”へのアンサー・ソングであることとか、90年代のヴィジュアル系(特にLUNA SEA)をガチで再現した曲調とビデオとか、ネタ的な要素が話題になっていて、もちろんそこも最高なんですけど、私が惹かれたのは歌詞です。〈魚は僕らを待っていない/魚は食べられたがっていない/魚は僕らの為に生きてなどいないよ〉。これって、アニマル・ライツや動物の倫理についての曲ですよね。私はウナギが大好きなんですけど、先週、土用の丑の日のことはすっかり忘れていました。でも、絶滅危惧種のウナギ(特にニホンウナギ)なんて、いま食べられないわけです。そう考えていたところでこの曲を聴いたので、余計にぐっときました。SDGsの目標の14には〈海の豊かさを守ろう〉というものが掲げられていて、それにも繋がる曲です。って、考えすぎですか? いや、でも、人間中心主義にノーを突きつけたすごくかっこいい曲だと私は捉えています。