ニューアルバム『TOWN BEAT』のリリースを記念し、2026年1月から福岡、愛知・名古屋、大阪を巡り、2月11日に東京・渋谷NHKホールで最終公演を迎えた〈KIRINJI TOUR 2026〉。チケットはソールドアウト、生配信(アーカイブ配信中)もおこなわれて大いに盛り上がったツアーファイナルをライター久保田泰平がレポートする。 *Mikiki編集部

熱っぽい歌と力強いグルーヴで総立ちの観客を揺らす
KIRINJIにとってひさびさのNHKホールのステージということももちろんだが、最新アルバム『TOWN BEAT』の出来映えだったり、フェスやらなんやら昨年のステージ活動の評判なんかによる期待度がハッキリと表れたようで、ツアー最終日も完売御礼。開演のときも、客電が落ちるとともに大きな拍手(まだメンバーがステージに現れていないうちから)が起こり……皆さん、どれだけ待ち望んでいたのかと。


ほの暗い照明のなか、メンバーが持ち場につくと、ドラムとパーカッションのみによる景気づけのビートから、1曲目“デートの練習”のイントロへと流れ込む(こうきたか!)。アルバム『TOWN BEAT』のなかでは、比較的落ち着いたテンポの曲だと思うけど、ライブではぐっと締まったビート感で、観ていて身体がぐっと前のめりになる。曲終盤で聞かせるシンリズムさんのギターソロもたまらなく、雰囲気あるある。



軽いご挨拶のあとに“だれかさんとだれかさんが”で心地よく身体を揺らしてくれると、続く“LEMONADE”ではお客さんが次々と腰を上げ、サビに向かって大盛り上がり。みんな大好きだよね、この曲。ここでリードボーカルをとる小田朋美さんの歌声と、ドラムンベース調で刻まれるビートが心地よくってめまいがしそうだ。早々のクライマックス。ミッドテンポの“Rainy Runway”で少し冷ます……とはいえ、高揚感は続き、お客さんは総立ちのまま。それにしても今回のツアーからパーカッションが入ったのは大きいな(叩いている松井泉さんの笑顔もプラスで)。高樹さんの歌も、いつにもまして熱っぽいし。



そこからのライトファンクナンバー“時間がない”がまたたまらなくテイスティーで、もはやライブの終盤かというぐらいの解放感。ベースラインがぐいぐいとくる“⾮ゼロ和ゲーム”では、高樹さんのアドリブを交えた歌いっぷりで、曲のノリをさらに高める。アーバンな雰囲気の“Almond Eyes”では、高樹さんがギターソロをたっぷりと聴かせ、プレイヤーとしてのチャームも全開。小田さんの艶っぽいコーラスもこの曲に至ってはとくに効果的(歌っているときの手ぶりも素敵でした)。



この日いちばん長めのMCで一息つかせたところで、小田さんが歌う“killer tune kills me”でふたたびホールを揺らす。この曲、高樹さんのギターカッティングがものすごく気持ちいい。続く“silver girl”では、高樹さんがガットギターに持ち替え、小田さんがスティールパンを鳴らしながら(このツアーに際して初めて扱ったのだそうです)、エキゾチックなグルーヴを展開。そこからパーカッシブ具合がレコーディング作品の倍増しな“曖昧me”、『TOWN BEAT』のなかでもいちばんライブで聴いてみたかった“ベランダから”……シンリズムさんのフルートも挿入され、南国っぽくもありつつ、なんとも不可思議なグルーヴに酔わされる。



ここでメンバー紹介。ギターのシンリズム、キーボードの宮川純、初参加となったパーカッションの松井泉、ドラムスのSo Kanno、ベースの千ヶ崎学、キーボードの小田朋美、そして堀込高樹。話題は楽屋の部屋割りの話など。

進化したバンドセットで会場は最高沸点のダンスホールへ
電子パーカッションが刻むセカンドラインのリズムをスパイスとした序盤から、傷心のブライアン・ウィルソンがしたためたかのような儚いメロディーへと展開する“反省と後悔”で、この日のセットでいちばん静粛な雰囲気を会場にもたらすと、そこからの “Drifter”という流れがまた、ずいぶん懐かしく(2001年の『fine』に入ってた曲)も美しい。穏やかでいてじんわりと熱を込めたメロディーと高樹さんのボーカルがとてもとても沁みる。そして、ぐっと景色を広げる“真夏のサーガ”でバンドのパワーを一気に解放。高らかに歌い上げる高樹さんの姿がなんとも神々しい。「消耗するぜ、この曲」とは、このあとのMCでの高樹さん。


ステージもそろそろ終盤に。初期キリンジを匂わせてくれるライトソウルな“気になる週末”で軽やかに揺さぶってくれると、“Runner’s High”でさらなる高みのグルーヴへと誘惑(こんなに熱かったっけ、この曲)。そこからなだれ込むように“素敵な夜”へとノンストップでつながるところがまたスリリングで、でっかいミラーボールも回って、テンションが最高潮手前(やっぱりパーカッション効いてるなあ)。ここはダンスホールNHKホール! お客さんもバンドも〈幸せそうでなによりですね♪〉ですよ、まったく。


続く“ルームダンサー”でまだまだ踊らせ……って身体を揺らしながら、KIRINJIってすっごくバンドっぽいなあとしみじみ。バンドセットなんだからバンドっぽいんだけど、いまのKIRINJIがいちばんバンドっぽい。塊になってる。そしてきたきた、“flush! flush! flush!”。アルバムで聴くよりもさらにファンキー度合いがアップ。ラテンファンクっぽさが強まった感じで、ニッポンのトイレも進化するけど、KIRINJIのステージも短い間に進化していた……と思う。曲の後半はお祭りのような盛り上がりで、トーキング・ヘッズ『Stop Making Sense』でのカオスなエンディングが思わず頭に浮かびました。すげえ、楽しい! ……本編終了。


アンコールでは懐かしい曲のオンパレード。“まぶしがりや”、そして、わりとちょくちょくやってくれるけど皆さんお待ちかねだったと思う“愛のCoda”、そして、堀込高樹2005年の初ソロ『Home Ground』から“冬来たりなば”。『Home Ground』とかしばらく聴いてなかったよなあ、帰ったら久々に聴いてみよう……と、温かいメロディーと懐かしさが相まって胸をギュンギュンとさせてたら、このあとのMCで高樹さんが、サブスクで聴けると言ってたので、そうします。


オーラスは“歌とギター”。歌、コーラス、演奏、笑顔その他諸々が渾然一体になった、今のバンドのスペックが最高沸点で表現された、まさにラストに相応しく、KIRINJIの今を象徴するナンバーでの、なんとも清々しいエンディング。思いっきり楽しめました!

SETLIST
1. デートの練習
2. だれかさんとだれかさんが
3. LEMONADE
4. Rainy Runway
5. 時間がない
6. 非ゼロ和ゲーム
7. Almond Eyes
8. killer tune kills me
9. silver girl
10. 曖昧me
11. ベランダから
12. 反省と後悔
13. Drifter
14. 真夏のサーガ
15. 気になる週末
16. Runner’s High
17. 素敵な夜
18. ルームダンサー
19. flush! flush! flush!
ENCORE
20. まぶしがりや
21. 愛のCoda
22. 冬来たりなば
23. 歌とギター
INFORMATION
KIRINJI TOUR 2026 at NHKホール 有料生配信
アーカイブ配信期間:2026年2月17日(火)23:59まで
配信チケット販売期間:2026年2月17日(火)21:00まで
■販売券種
①ライブ視聴券:4,400円(税込)
②ライブ視聴券+メイキング映像:5,500円(税込)
※②はBitfan限定販売
■販売先
Bitfan:https://kirinji.bitfan.id/events/16313
Streaming+:https://eplus.jp/kirinji-st/
詳細ページ:https://www.kirinji-official.com/contents/1033961
RELEASE INFORMATION
リリース日:2026年1月9日(金)
品番:SCKN-0002
価格:3,850円(税込)
紙ジャケット仕様
TRACKLIST
1. ルームダンサー feat. 小田朋美
2. 気になる週末
3. 素敵な夜
4. flush! flush! flush!
5. LEMONADE feat. 小田朋美
6. デートの練習
7. 反省と後悔
8. ベランダから
9. 歌とギター(Remix)
LIVE INFORMATION
KIRINJI 弾き語り ~ひとりで伺います
2026年5月29日(金)石川・金沢 辻家庭園
開場/開演:18:00/19:00
2026年5月30日(土)福井・越前 御誕生寺
開場/開演:15:00/16:00
2026年5月31日(日)富山・黒部 白雪山善巧寺
開場/開演:17:00/18:00
2026年6月26日(金)静岡 浮月楼
開場/開演:18:00/18:30
2026年6月27日(土)愛知 岡崎城 二の丸能楽堂
開場/開演:16:00/17:00
2026年6月28日(日)岐阜・中津川 かしも明治座
開場/開演:13:30/14:30
チケット:5,500円(前売/税込)
詳細ページ:https://www.kirinji-official.com/contents/1037796
billboard classics KIRINJI PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2026
2026年8月28日(金)東京・赤坂 サントリーホール 大ホール
開場/開演:17:30/18:30
出演:KIRINJI/齋藤友香理(指揮)/東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
編曲:山下康介/萩森英明
チケット:12,000円(全席指定/税込)
公演公式サイト:https://billboard-cc.com/KIRINJI2026
PROFILE: KIRINJI
堀込高樹によるソロプロジェクト。1996年に堀込高樹・泰行兄弟で〈キリンジ〉を結成し、2013年に堀込泰行が脱退後、新メンバーを迎えたバンド体制〈KIRINJI〉を経て、2021年より現在のソロプロジェクト体制で活動中。様々なアーティストへの楽曲提供、ドラマ・映画の劇伴や番組のテーマソング制作、ラジオDJなど活動は多岐にわたる。2025年は、1月にLIVE Blu-ray「KIRINJI 25th ANNIVERSARY LIVE」を、3月に配信シングル“歌とギター”をリリース。7月に開催したビルボードライブツアーは全8公演が完売し、〈FUJI ROCK FESTIVAL ’25〉への初出演、11月には上海・広州でのワンマンライブ開催や韓国フェスへの出演など、国内外で精力的な活動を展開。2026年は、1月9日にオリジナルアルバム『TOWN BEAT』をリリース。1月12日から福岡・愛知・大阪・東京を巡るバンド編成でのライブツアーを開催、NHKホールを含む全公演がソールドアウト。3月に開催の韓国での初のワンマンライブも発売後すぐにソールドアウトを記録するなど、進化し続けるサウンドと独自の詞世界で、世代や国境を越えて幅広い支持を集め続けている。
■Links
KIRINJIオフィシャルサイト:https://www.kirinji-official.com/
KIRINJIオフィシャルX:https://x.com/kirinjiofficial
KIRINJIオフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/kirinji_official
syncokinオフィシャルサイト:https://syncokin.com/
