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この3人で普段出会わない音楽をやったらどんな響きになる?

――最近はマーティさん自身が録音などのエンジニリングやミックスを手がけることも増えましたね。

マーティ「そうですね。最初に自分で録音したのは『Trio III』かな、『Trio II』よりも前に録っているから。2作ともミックスはやってなくて、録音だけなんですが」

――それはなにかきっかけがあるんですか?

マーティ「もともと家でベースを録ったりはしていたんです。それがコロナ禍で時間が出来た時に、山梨の八ヶ岳星と虹レコーディングスタジオで、僕の師匠というかメンターであるジム・オルークさんや石橋英子さんからマイキングやミックスの技術をたくさん教えてもらったんです。ジムさんが〈ここでレコーディングしたかったら僕の機材も使っていいよ〉というので、やるしかないと思って。それで作ったのが『Trio III』です。あの時はコロナ禍だったからみんなすごく暇だったしね。その後『Trio II』を作って。最近ではエンジニアの仕事も増えてきましたね」

――自分でレコーディングをするようになると、ベースプレイにも影響はありますか?

マーティ「そうですね。プレイの面でも〈こういう弾き方をしたらミックスでどうなるか〉とか〈この音色だったらライドシンバルと相性が良さそう〉みたいなことを考えるようになって、視野がすごく広がったと思います」

――今回ミックスを担当されたジョー・タリアさんへのオーダーはどのようにされましたか?

マーティ「ジョーさんは僕がオーストラリアにいた頃からのマブダチですね。日本にも住んでいたことがあって、その時は新中野で隣のマンションに住んでいた。『Trio I』も彼がミックスしたんだ。今回はリモートでやり取りしたんだけど、ジョーさんは僕の好きな音を完全に理解してくれてる。だから〈もう少しインディーっぽく〉みたいなコンセプトを伝えるくらいかな。特に彼はリバーブの使い方がめちゃくちゃうまくて、僕は彼を〈リバーブのオビ=ワン・ケノービ〉だと思ってる(笑)。

今回のアルバムのジャケット、どこだかわかる? 駿ならわかると思う」

石若「……中野じゃない?」

マーティ「正解! これがオリジナルフォト。見て見て」

石若「あっ、中野サンプラザ!」

マーティ「そう(笑)。あの頃に住んでいた新中野のアパートから撮った写真なんだよ。隣にあるのが、ジョーさんのアパート」

石若「ジョーさんもドラマーだから、自分が叩いて聴いているそのままのいい音にしてくれるんだよね。ドラマー特有の音の距離感とかタッチをわかってくれてるから、本当に理想の音になります」

――アルバムの先行シングルにもなった“Eternal”は、非常に隙間があってコンセプチュアルな曲ですね。

マーティ「実は、今まで作った曲の中で一番好きかもしれない。シンプルなメロディだけどエモさがあって。駿のローピッチのスネアや、翔太の弾きすぎない伴奏が最高で、録った時にすごく感動したんだ。だからこれをシングルにしようと思った」

――“The Things We Carry”では先ほどお話にあったプロフェットの音色も聴けます。

マーティ「トリオのフォーマットで、シンセがメロディをとるっていうのはあまりやったことがなかったので、これは僕なりのフュージョンですね」

――一方で、石若さんが提供した“Wall Edge Cheers”はかなりぶっ飛んだ曲です。

石若「翔太とマーティのことはよく知ってるけど、〈この3人がそれぞれ普段出会わないような音楽、やったことのないような音楽を試すとどんな響きになるんだろう?〉っていうのを楽しみたくて書いた曲。翔太が両手を高音低音に開いてギャンギャンとクラスターを弾かせるような曲は他のバンドでもあんまり聴いたことがないし、このトリオのためだからこそ出来た曲ですね。これが見えたから、また次のサウンドの広がりも見えるし、感触としては大成功だと思います」

マーティ「しかも、みんなヘトヘトになってる朝の3時半に、あの変な曲を持ってきたんだよ(笑)! 事前に譜面も送られてなくて、初見でパッとやって」

――ラストの“ii imi de”はBPM 390超えの超高速スイング曲です。

マーティ「『Trio』シリーズでファストスイングはやったことがなかったから、ちょっと変な曲を書きたくて。シンプルでキャッチーだけど、小節数が10とか12とかで怪しさがある。すごく〈いい意味で〉頭のおかしい曲になったと思う(笑)。好きな日本語なんですよ、〈いい意味で〉」