和久井沙良が4作目となるフルアルバム『Nothing But Living』をリリースした。2月にリリースされたEP『utas』と同じく全編、和久井自身の歌唱による〈歌もの〉楽曲が収められた全13曲のアルバムである。13曲の中には幽玄なアンビエントポップがあり、イシイトモキ、高橋佳輝、上原俊亮というライブでも共演し続けている盤石のバンドメンバーたちとの狂騒的なバンド演奏があり、盟友・竹内アンナと甘く強く歌い上げるディスコチューンがあり、端正で叙情的なR&Bがあり……と、音楽性はとにかく多彩。このひとつのところに留まろうとしない多彩さと自由さこそが和久井沙良という人間なのだろう。そしてまた、和久井がこのアルバムで捉えようとした移ろいゆく心、流れゆく時間、とりとめのない日々もまた、このざっくばらんとしながら全体的にメロウな質感を持った音楽性に表れているのだと思う。
『Nothing But Living』には、和久井沙良というひとりの人間が世界や他者と擦れ合いながら感じてきたであろう、痛みや喜びが露わに歌われている。強く主張するような歌声ではないが、それでも〈歌わなければいけない〉と静かに覚悟を決めたような和久井の歌声は、〈出会い〉と〈別れ〉がこのアルバムに刻まれていることを確かに感じさせる。なんて哀しくて、なんて温かい音楽だろう。何度も繰り返し聴き続けていくうちに、あるときアルバム最後の“shoes”を聴いたとき、僕はこの曲と並んで歩いているような気分になった。この世界に大好きなシンガーソングライターがまたひとり誕生した。

気づいたら歌ってた
――今回のアルバム『Nothing But Living』は、今年2月に出たEP『utas』と同じく全編和久井さん自身による歌ものの作品ですが、全体の質感は『utas』とはどこか違っていて。それは『Nothing~』の方が音楽性が多様だから、ということもありますが、僕が感じたのは、『Nothing~』のほとんどの歌には〈他者がいる〉という感覚があるんじゃないかということでした。それによって、このアルバムは今までの和久井さんのどの作品とも違う悲しみや嬉しさを表現し得ているのではないかと思ったんです。まずは本作の制作がどのように始まったのか、教えてください。
「制作のスタートは、確か今年の2月か3月あたりだった気がします。それまでにデモができ上がっていた曲は数曲あるんですけど、それに加えて、3月くらいから新たに作り始めた感じでしたね」
――『utas』を出されたあたりですね。
「そうですね、『utas』に入らなかった曲を制作してみたり。ただ、その段階ではこれといったコンセプトみたいなものは考えずに、とりあえず1曲1曲作っていくぞ、っていう感じでした。なので、アルバムとしてひとつの統一された思いやテーマがあったわけでもないんですよね。バラバラな感情がギュッと入っている感じ。ただひとつ言えるのは、全部が歌ものになった、ということだと思います」
――これは改めての質問になるかもしれませんが、デビューからずっとインストゥルメンタルが主軸にあったうえで、なぜ今、和久井さんは自分で歌うことを求めたのだと思いますか?
「なんでなのかな……。わからない(笑)」
――(笑)。
「気づいたら歌ってた、っていう感じなんですよね。気づいたらピアノを弾いていたのと同じように、気づいたら歌っていました。阿部さん(阿部淳/APPOLO SOUNDS代表)をはじめ、〈歌もの、いいね〉と言ってくれる人が周りにちらほら現れてきて〈もうちょっとこの分野を突き詰めてみたい〉と思ったのも大きいです。あとは、単純に楽しいから作っている、というのが大きいなと思います」
――今作のリファレンスという観点を抜きにして、歌ものの表現をしている音楽家で和久井さんが好きな人を挙げるとすると、どんな人が浮かびますか?
「日本語の音楽で言うと、日常的によく聴くのはodolやBialystocksですね。他にもジャスミン・マイラさんやリアン・ラ・ハヴァスさんのような人たちをよく聴いています。直接的に今回のアルバムのリファレンスになっているわけではないですけど、影響はどこかにあるかもしれないです」

今の感情を素直に出した、〈生活しているだけ〉のアルバム
――今回のアルバム制作期間は和久井さんにとってどんなものでした?
「1日中家にいて、1日中パソコンと音と向き合っていた期間だったと思います。その時期たまたまサポートの仕事がなかったので、映画を観るか、本を読むか、曲を作るかご飯を食べるか寝るか、みたいな生活をしていて。若干孤独になったというか、しんどかった時期もありましたね。ずっと楽しいわけではなかったです。
そもそも歌うのは得意じゃないから仮歌を歌うのもしんどかったし、歌詞を書くのもしんどかったし。内容が内容だから歌詞を書きながら沈んじゃうこともあって。全部が全部、楽にできたアルバムではなかったかもしれないです。でも、できあがったときには凄く嬉しかった」
――そもそもコンセプトはなかったということですけど、完成した段階でアルバムを見渡したときにどんなものがここには捉えられていると感じられました?
「タイトルが『Nothing But Living』なんですけど、言ってしまえば、〈ただの生活〉。それがどれほど愛おしいことかっていう。本当にそんな感じで、このアルバムに入っているのは全部、日常的で、自然体で、生活の一部の曲だなと思いました。なにか特別なことをやろうともしていないし、大きくなろうともしていない。野望みたいなものではなく、今の感情をただただ素直に出した、本当に〈生活しているだけ〉という感じのアルバムになったなって」
――ジャケットにも生活感はありますよね。
「このジャケットを作ってくれたデザイナーの近藤(萠)さんは高校の同級生で、嬉しい再会だったんです。近藤さんにまずお伝えしたのが〈私は言葉にできないものを大事にしているよ〉ということや、〈見えないもののことを意識にしているよ〉ということで。そこから汲み取ってくれたのと、近藤さんも〈曲の中から生活の香りがした〉と言ってくれて。だから、このアルバムは13曲収録なんですけど、ジャケットには洗濯物が14枚あって、1曲1曲の色を、私が指定したわけではなく、近藤さんなりに色付けして作ってくれたんです。最後の1枚は聴き手に委ねる、という意味が込められています。完成したジャケットを見たときに、文句のつけようがないくらい、このアルバムのジャケットとしてしっくりきました」

自分の人生において大事な1枚になった
――これまでの和久井さんのアルバムを振り返ったときに個人的に感じるのは、前作『The Little Cycle』までの流れは、どんどんできることが増えて、和久井さんのエネルギーが肥大していく感じがするというか。
「はい、はい(笑)」
――でもさっき言っていたように、今作は決して〈大きくなろう〉としているアルバムではなくて。もちろん今作もこれまでのアルバムと地続きにあるものだとは思うんですけど、作り上げた後のご自身の体感はいつもと違うのかもな、と思ったんです。
「そうですね……ひとつ言えるのは、今回は完成した後、何回も自分で聴き返していますね。それは自分でも不思議です。今までのアルバムは音数がめっちゃ多くて、自分で聴いていても疲れちゃうので……(笑)」
――(笑)。
「今までのアルバムは、作り終わった後はリスナーの人たちが楽しんでくれればいいのであって、自分では箪笥の奥に仕舞っちゃう感じだったんです。でも、今回のアルバムは自分の生活や自分の感情とあまりにも結びついているし、作った当時は何気なく書いた歌詞が、その数か月後にデジャブみたいに同じような体験をする、みたいなことが多くて。それも言葉のある音楽ならではのことですよね」
――確かに。ご自分で聴き返せるかどうかというのは、大きな違いのような気がしますね。
「私は自分の気持ちや音楽でやりたいことが割とコロコロ変わるタイプなんですけど、このアルバムに関しては今のところまだ共感できています(笑)。自分の人生において大事な1枚になったのかなって思います」
――このアルバム自体、1作の中で音楽性も感情もコロコロと変わっていきますよね。裏を返すとこれまでのアルバムは、ひとつの絶対的なものに向かっていこうとしていた部分もありますか?
「今回に比べるとあったと思います。〈カッコよくしよう〉とか、〈普通じゃないものを作ろう〉とか、〈尖らせよう〉とか、そういうエネルギーがあった気がする。自分にしか作れないものを頑張って作ろうとしていたし、そのときの自分にはないものを目指して作っていたし。だから、コードも拍子も音色もプレイもめちゃくちゃなものになっていたんだろうなと思う(笑)。それはそれで楽しかったし、そうやって作った曲はライブで再現するのもエネルギーがいることで、そこに向き合うのも楽しいことなんですけどね。
でも今回は、自分の個性を出そうとは思っていなかったです。だから力んで作った曲はほとんどないです。自然に生まれた曲ばかり。そもそも自分が作っているんだから、ブランドや個性って、わざわざ目指して作るものではないんだなと思います」

経験していないことや感じていないことは歌詞にできない
――最初に僕が言った〈歌に他者がいる〉という点は、ご自身で振り返るとどう感じられますか?
「人間が生きていくことは他者との間で物事が進んでいくことなんだ、というのは凄く感じます。このアルバムには確かに、誰かを意識して作った曲もあるし、それが現実の体験である場合もあれば、そうでない場合もあって。〈こうなったらいいなぁ〉という妄想のようなものもある。他者は、生活の中で切っても切れないものだと思います」
――例えば、“言わせばない”で歌われる人と人との景色には幸福なものを感じますが、“氷”で歌われる人と人との関係には、絶対に存在してしまう隔たりや、時間が経つほどに変わってしまうものがあることを感じさせます。様々な種類の人と人との関係性がこのアルバムからは浮き彫りになってくる感じがする。これらのことは全部、和久井さんがこれまで生きてきて感じてきたことが表れているんだろうなと思ったんです。
「そうですね、感じたことを歌にしているので。“言わせばない”は、1番の歌詞は2024年に作っていて、2番は2026年に作っているんです。だから、1番と2番で全然違うんですよね。1番の歌詞を書いた頃は幸せな光景を思い浮かべていたけど、2番からは影が入ってくるというか、危うくなっていく。それは自分の経験から、そういう見方が生まれたんだと思うんです。“言わせばない”は、時間を経ると人間も変化していくということが、本当に時系列で1曲の中で表れているのが自分でも面白くて。
でも、最後の方のCメロは2024年のままなんです(笑)。それで世界観が損なわれるかなと思ったけど、意外と繋がっていく気がしなくもなかったんですよね。それで結果的に〈それでもふたりは一緒にいる〉という感じの終わり方になった。2年かけて歌詞を書いたので、これはこれで〈時〉の作品だなと思います」
――1stアルバムの『Time Won’t Stop』から、和久井さんにとって〈時〉はずっと大きなテーマですもんね。“氷”は和久井さんにとってどんな曲ですか?
「“氷”は、フランコ・リードさんというLAのプロデューサーの方が来日したときに一緒に作った曲なんですけど、この曲は本当にそのとき自分がタイムリーに感じていたことを歌にした曲ですね。お互いに怖すぎて、何も前に進めることができなかったふたり、というか……。あまりにも個人的なことだから、インタビューで言うのもなんなんですけど」
――そのくらいパーソナルなことを歌で表現することは、和久井さんに何をもたらすんですか?
「それをすることで何かが解決するわけではないんです。日記みたいな感じなのかな。私は経験していないことや本当に感じていないことは歌詞にできないタイプなんだろうなと思います。だからどんどん歌詞が個人的になっていく。いつか曲になった人たちに〈金払え!〉って言われるかもしれないですけど(笑)」

不器用ながら何かを伝えたい、でも伝えるとひとりになるかも
――(笑)。今作は和久井さんが全部おひとりで作っている曲もあるし、イシイトモキさん、高橋佳輝さん、上原俊亮さんというライブも一緒にやっているバンドメンバーたちと演奏している曲もあるし、“氷”のようにプロデューサーを招いている曲もある。音楽的にはかなり多様になっていると思うんです。例えば1曲目“FAR”は和久井さんひとりの宅録で、11曲目“こそばゆい”はバンド演奏で作られている、そこには明確に曲が求めるものの違いがきっとあるわけですよね。
「そうですね、明確にあって。“こそばゆい”は『utas』を引っ提げてライブをやるとなったときに、このバンドメンバーと歌ものをやるとしたらどんな曲を歌いたいか?ということを考えた末にできた曲なんです。だからライブを前提とした曲でもあるし、結構エネルギーを使って作った曲でもあるんですよね。
そのくらいしないと消化できないくらい自分にとって重たい経験のことをこの曲では歌っているんです。そういうヘビーな経験のことを、ギターの爆音で散らしたかったんだと思います(笑)。この曲は自分にとってヘビーすぎて、アルバムの中でもあまり聴き返したくない曲ではあるんですけど。
“FAR”は逆に、ほとんどボーナストラックのようなノリで作った曲で。朝4時くらいに部屋でひとりでうわーっと作った曲なんです。部屋で完結している曲なんですよね」
――“FAR”の歌詞にはどんなイメージがありました?
「“FAR”は遠くにある島をイメージして作った曲なんですけど、そもそも私は、伝えることが得意ではないので。思っていることや本当の心を塞ぎ込んでしまうタイプなんですよね。でも、伝えたいことはある。そういうところから始まった歌詞だと思います。
不器用ながらも一生懸命何かを伝えたいと思っている自分がいて、でも伝えたところで結局ひとりになってしまうのかもしれない……みたいな気持ちもある。そんな自分が出ている曲だと思います」
――和久井さんが〈伝える〉ということに向き合ったり、敏感に何かを感じ取ってきたことが、このアルバムには入り込んでいると思いますか?
「そうですね。〈伝える〉はキーワードになっているかもしれないです。苦手なことだからこそ、大事なことでもあるので」

アンナちゃんといると自然体でいられる
――2曲目の“Destiny(feat. 竹内アンナ)”では和久井さんがサポートもされている竹内アンナさんがフィーチャリングで参加されていますが、竹内さんは和久井さんにとってどんな存在ですか?
「アンナちゃんはうちに遊びに来たり一緒に映画を観に行ったりするような仲なんですけど、私は自分から〈どっか行こうよ〉っていうタイプではなくて、アンナちゃんがいつもいろんなところに誘ってくれるんです。でも、今回は私からアンナちゃんに〈歌ってほしい〉ってお願いしました。
アンナちゃんといると自然体でいられるんです。高校生に戻ったみたいな感覚で話せる。音楽業界で出会った仲間でそういう関係でいられる人ってあまりたくさんいるわけではないんですよね。だからこそアンナちゃんの存在は嬉しくて。プライベートのことも話せるし、お互いステージに立っていることの共感もあるし、本当によき友達です」
――“Destiny”って、つまり〈運命〉ということですけど、和久井さんにとって運命ってどんなものなんだろう?というのも凄く気になるんですが。
「(笑)。この曲も“FAR”と一緒で朝起きてパソコンをいじっていたときに、ベースラインができたんですよね。デモを作りながら〈この曲、アンナちゃんの声が合うな〉と思っていたら、たまたまアンナちゃんから連絡が来たんです。恥ずかしいけど送ってみようと思って、仮歌も入れて〈この曲、アンナちゃんの声に合いそうだなと思ったんだけど、どう?〉って送ったら、〈いいね! 元気出た!〉みたいに言ってくれて。それで一緒に作り始めたんです。
歌詞は語感重視で、〈Gonna make your destiny tonight.〉って部分も、仮歌の段階で〈Gonna make your〉と歌っていたわけではなくて、〈ガナメッキャッ〉ってずっと言っていたんです(笑)。〈これに近い英語はないか?〉って探して作った歌詞なので、まあこじつけですね(笑)」
――なるほど(笑)。では曲と関係なく聞きますが、和久井さんにとって〈運命〉とはどういうものですか?
「運命は……決まっている気はします。なんとなく。前もインタビューで〈なるようになる〉みたいなことを言ったことがあるんですけど、〈もう決まっているからどうでもいいや!〉みたいな(笑)。それが私にとっての運命かもしれないです」

朝が来て、夜になり、また明けていく構成
――“FAR”も“Destiny”もそうですが、和久井さんは朝起きてパソコンをいじるんですね。
「はい、朝起きて何気なくDTMを開くことはよくあります。それが一番自分にとって曲が生まれやすいタイミングなんです」
――ではこのアルバムは、結果的にであれ、朝に生まれた曲から始まる構成になっているということですよね。
「確かに。朝のカラッとした感じから始まって、どんどんディープな感じになって、最後にまた明けていく。そういう流れは曲を並べるときに意識していたかもしれないです。“こそばゆい”は後半に置きたかったし、“よせてはかえす”と“氷”の位置も結構悩んだ気がします」
――“よせてはかえす”は、真ん中の7曲目にある今の並びがとてもいい気がします。
「うん、そこは意図的でした。このアルバムの中でも、悲しみすぎてもいないし、喜びすぎてもいない、フラットな感情の曲なので、真ん中にあるといいんじゃないかと思って」

〈君が好き〉と歌えるようになった
――アルバムの最後を飾る“でてきて”と“shoes”の2曲はとても美しい曲たちで、この曲たちで締め括られることで、アルバムの視点が外を向いて終わっていくような印象も受けました。アルバムの終わらせ方については、どのように考えられていましたか?
「“shoes”に関してはこのアルバムの中では珍しく、前向きな曲というか。ここまでの12曲があったうえで、〈やっと前に進もうとしているんだな〉みたいな(笑)。曲自体ずっとシンセベースが進んで行く躍動感があるし、ギターもちょっとシューゲイザーっぽくて。確かシューゲイザーっぽいものが作りたかったから、“shoes”って名付けたんですよね」
――そうなんですか。僕は〈人それぞれのもの〉とか〈一人ひとりがそれによって人生を歩いていく〉みたいな意味合いで“shoes”なのかと思っていました。
「言われてみれば確かに、歩いていくこととか、〈一人ひとりの靴〉っていうイメージはこの曲に合っているなと思います」
――“shoes”の歌詞で〈気持ちよく君が歌うから/つられて僕も歌を歌ってみているよ〉とありますけど、〈誰かが歌っているから自分も歌ってみている〉という感覚や気分って、今和久井さんが歌っていることの中にもあるものですか?
「ああ、それはたぶんあると思います。具体的にきっかけとなる人がいるわけではないんですけど、でも、こういう感覚を持つ人は多いんじゃないかなと思う。隣にいる人が気楽そうだから自分も気楽になっちゃう、みたいなことってありますし。もしかすると、和久井沙良が歌っているから〈あ、私も歌ってみよう〉と思う人もいるかもしれないし。どっちも感じますね。自分自身もそう感じているし、自分以外の人もそう感じているかもしれないし」
――“shoes”は〈君が好き〉という言葉で終りますけど、このもの凄くシンプルなラブソングの言葉で終っていくのが本当にいいですよね。
「〈最後にやっと言えたんだ〉って感じですよね(笑)。〈君が好き〉って本当に一番ストレートな言葉だと思う。この最後のブロックの歌詞が書けたとき、ひとりで感動したんです。〈こんなこと言えるようになったんだ!〉と思って。こういうこと、今まで絶対に言えなかったから。だから自分でもこの曲が大好きで、アルバムの最後に持ってきました」
――この曲では〈今〉という言葉も繰り返し歌われますね。
「〈今〉は凄く大事にしている言葉だと思います。すべてにおいて今しかないから。そもそも私は、〈過去こうだったから自分にはこれができない〉とか、〈今こうしてしまうと未来がこうなってしまうかもしれないからやめておこう〉とか、ずっとそういう軸で生きてきたなと思うんです。でもそうやって生きていると、本当に自分が思っていることが見えなくなってしまうんですよね。それに気づいてから〈今どうしたいか?〉で生きていくようにしたんです。そうしたら、すべてがよくなっていくような感覚があって。〈今〉という言葉は、私にとって凄く大事にしたいものですね」
――“shoes”の前にある“でてきて”では〈理想はどこにもないよ〉と歌われます。この言葉は和久井さんのどんな実感から出てきたフレーズですか?
「“でてきて”は夜に作った曲で、〈元気がない人に出てきてほしいな〉というシンプルな動機から生まれた曲なんですけど、〈出てこられない人の気持ちってどんなものなんだろう?〉ということも考えながら書いたんです。
〈理想はどこにもないよ〉は……自然に出てきた言葉なので、そのときなぜ出てきたのかはわからないですけど、今思うのは、〈どこかを目指さなくても別にいいじゃない?〉ということなのかなって。そう思います」

時代や流行を追わず、思っていることをそのまま出す
――『Nothing But Living』を聴いていると、〈生きるってこんなにも悲しいんだ〉という気持ちにもなって、でもそれが凄く温かいというか。そのうえで歩き出そうと思える。そういうところが、僕がこのアルバムの好きなところで。
「ありがとうございます」
――改めて、今作を作り上げてどんなことを感じますか?
「〈今自分が作りたいものを作っている人〉でありたいという思いは、1枚目の頃からずっと自分は変わっていないなと思います。〈時代がこういう流れだから〉とか〈流行がこうだから〉とか、そういうものを追いかけたいともあまり思わないから。そのときの自分が思っていることを、ただそのまま出す。それで終了、っていう(笑)。そのスタンスは一貫して崩れていないなと思いますし、そのスタンスこそが自分の核になっている気がします。まあ、あんまりこだわらないってことですね(笑)」
――(笑)。
「こだわらないことが、私の強みな気がします(笑)」
RELEASE INFORMATION
リリース日:2026年8月19日(水)
品番:APLS2607
価格:3,300円(税込)
TRACKLIST
1. FAR
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
2. Destiny(feat.竹内アンナ)
作曲・作詞:和久井沙良、竹内アンナ
編曲:和久井沙良
3. 膜
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
4. 言わせばない
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
5. 春なんて
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
6. HiFi Vague
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
7. よせてはかえす
作曲・編曲:和久井沙良、Franco Reid
作詞:和久井沙良
8. 氷
作曲・編曲:和久井沙良、Franco Reid
作詞:和久井沙良
9. Chord
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
10. repeat
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
11. こそばゆい
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
12. でてきて
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
13. shoes
作曲・作詞・編曲:和久井沙良
■参加ミュージシャン
Vocal, E. piano, Synth:和久井沙良
Guitar:イシイトモキ(track 4,5,6,9,11,13)
Bass:高橋佳輝(track 4, 6, 11)
Drums:上原俊亮(track 4, 5, 6, 9, 11, 13)
Mixed by 染野拓(track 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 11, 13)、セガワロク(track 7, 8, 12)
Mastered by David Hachour (ColorSound Studio Mastering)
カバーイラスト&アニメーションMV:近藤萠
ジャケットデザイン:澤野洋土
LIVE INFORMATION
Sara Wakui -Four Elements- Release Live Tour 2026 “Nothing But Living”

出演:Sara Wakui -Four Elements- 和久井沙良(ボーカル/キーボード)、高橋佳輝(ベース)、上原俊亮(ドラムス)、イシイトモキ(ギター)
2026年9月23日(水・祝)大阪・心斎橋 LIVE SPACE CONPASS
開場/開演:17:00/17:30
各料金:4,500円(前売り)+1 drink/5,000円(当日)+1 drink
U22料金:3,500円(前売り)+1 drink/4,000円(当日)+1 drink
TEL:06-6243-1666
住所:〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1丁目12-20 心斎橋ダイワビル B1F
2026年9月24日(木)愛知・名古屋 新栄 club (O)Utopos
開場/開演:19:00/19:30
各料金:4,500円(前売り)+1 drink/5,000円(当日)+1 drink
U22料金:3,500円(前売り)+1 drink/4,000円(当日)+1 drink
TEL:052-212-8766
住所:〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2丁目47-50
Mail:https://club-outopos.jp/contact
2026年9月26日(土)東京・表参道 WALL&WALL
開場/開演:18:00/19:00
各料金:4,500円(前売り)+1 drink/5,000円(当日)+1 drink
U22料金:3,500円(前売り)+1 drink/4,000円(当日)+1 drink
TEL:03-6438-9240
住所:〒107-0062 東京都港区南青山3丁目18-19 フェスタ表参道ビル B1
席種:全自由
オフィシャル先着先行受付:2026年6月26日(金)19:00〜2026年8月21日(金)23:59
企画:APOLLO SOUNDS/Fujipacific Music Inc.
チケットページURL:https://eplus.jp/sarawakui/
チケット問い合わせ:YUMEBANCHI(大阪)06-6341-3525<平日12:00~17:00> https://www.yumebanchi.jp/
PROFILE: 和久井沙良
作曲家/鍵盤奏者。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。3歳よりピアノを9歳より作曲を始める。数多くのライブサポートをする一方で、2022年には自身のソロプロジェクトの活動を開始。また、同年よりシンガーのキャサリンとのポップスユニットLioLanの活動も開始。自身のプロジェクトでは様々なミュージシャンを起用しつつ多彩な楽曲を制作し独自の世界観を形成する。またライブでは、そのアグレッシブかつ圧倒的なパフォーマンスで多くの聴衆を魅了する。
■バイオグラフィ
2022年3月 丸の内COTTON CLUBでの初のリーダーライブを開催。チケットがソールドアウトとなる。
2022年12月 初のアルバム『Time Won’t Stop』をリリース。
2023年2月 渋谷WWWにてリリースライブを開催。チケットがソールドアウトとなる。
2023年7月 〈FUJI ROCK FESTIVAL 2023〉に出演。
2023年7月 LioLanの1st EP『UNBOX』をリリース。
2024年3月 自身の2ndアルバム『Into My System』をリリース。
2024年12月 ライブアルバム『Into My System Live』をリリース。
2025年10月 3rdアルバム『The Little Cycle』をリリース。
2026年2月 1st EP『utas』をリリース。
2026年8月 4thアルバム『Nothing But Living』をリリース。
和久井沙良 公式Xアカウント:https://twitter.com/donwaku
和久井沙良 公式Instagram:https://www.instagram.com/donwaku/
和久井沙良 公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@user-ce6jr6eu9s/featured
和久井沙良 公式ホームページ:https://www.sarawakui.com/
