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音に情報量をどれだけ含ませられるか

――レコーディングは都内のスタジオ〈NK SOUND TOKYO〉で行っています。アコースティックな響きといっても、ライブと録音作品では印象が異なってくると思いますが、レコーディングの際にこだわったことなどはありましたか?

「レコーディングに関してはエンジニアのニラジ・カジャンチさんにお任せして、とてもスムーズにいきました。時間がかかるかなと思ったら予想以上に早く録り終えた。RS5pbだとスタジオに入って2〜3日かかることもあるんですけど、今回は昼頃から初めて夕方には終わったかな。

トランペットの音ってエンジニアによって結構差が出るんです。でもニラジさんにミックスしてもらった音を聴いたら納得できる音で。〈こんな感じで録ってください〉みたいなリファレンスも特に挙げなかったですね。それをやると逆に上手くいかないこともありますし」

――『セルレア』の大きな魅力はやはり、時に過激で時に幻想的なアンサンブルを編み上げる、アコースティック楽器ならではの音色だと思います。最後に、類家さんにとって〈理想の音色〉とは何かを教えてください。

「僕、音色を聴いて感銘を受けるプレイヤーと特に何も感じないプレイヤーがいるんですよ。同じ楽器であったとしても、好きな音とそうでもない音がある。それってなんだろうと考えた時に、まあ難しいですけど、〈情報量〉な気がするんですよね。出している音に情報量をどれだけ含ませることができるか。たとえばマウスピースを変えるだけでも別の音色にはなるけれど、そういうことの奥の方にあるものが重要というか。音に情報量を込められるかどうかは、ピアノだと違いが顕著で、同じピアノを弾いても人によって音色が大きく変わることがある。誰でも鍵盤を叩けば音は出るけど、情報量が違うんですよね。その差は面白いなと思うし、音に含まれている情報量が多い人の演奏を聴くと感動します。

あと、僕は地元が青森県なんですけど、小さい頃に八戸市公会堂というコンサートホールで自衛隊の音楽隊を観たんです。小学生の時にブラスバンドをやっていたから聴きに行って。その時に本当に感動してしまって、身体中がビリビリしたことがあったんですよ。それはいまだに覚えてます。音楽が良かったか悪かったかはわからないですが、とにかく生の音を浴びて感動した。今振り返るとそれも〈ああ、すごい情報量だな〉という音色の衝撃だったと思うんです。そこからいろんな音楽を聴いたり経験したりする中で、聴く耳も変わっていって、なかなかビリビリすることはなくなってしまいましたけど、でも、今でもあの時感じた衝撃を求めて音楽を続けているところがありますね」

 


RELEASE INFORMATION

類家心平 『セルレア』 Days of Delight(2026)

​リリース日:2026年6月11日(木)
品番:DOD-062
価格:2,750円(税込)

TRACKLIST
1. Invisible

2. Kichimu
3. Augustus
4. NIVA
5. Addiction
6. Noema
7. Coerulea
8. Haoma

(2026年3月17日 東京録音)

■演奏者
類家心平 trumpet
中嶋錠二 piano
千葉広樹 bass
福盛進也 drums

 


PROFILE: 類家心平
トランペット奏者。1976年の青森に生まれた類家心平は、10歳のときにブラスバンドでトランペットに出会い、高校生のときにマイルス・デイヴィスでジャズに開眼。高校卒業後に海上自衛隊音楽隊に入隊してトラペットの腕を磨いた。2004年にジャムバンド〈urb〉でメジャーデビューを果たすと、リーダーバンド〈類家心平4 piece band〉〈RS5pb(Ruike Shinpei 5 piece band)〉を次々に始動させ、多彩な作品を送り出す。一方では〈RS5pb〉のバンドメイトでもある中嶋錠二とのデュオユニット〈N40°〉や完全即興のソロパフォーマンスなど、さまざまな編成・コンセプトの活動を併行的に展開している。2025年にはキャリア初のソロプレイ作品『メタモルフォーゼ』をDays of Delightからリリースした。

 

■Days of Delight
公式サイト:https://www.dod-jp.com/
YouTube:https://www.youtube.com/@daysofdelight6986