『Eternal Child』に響く、継承と探求、そして未来
イスラエル出身で、今やヴェテランの域に近づきつつあるベーシスト、アヴィシャイ・コーエンが、若手ピアニストとドラマーを起用して、新たなトリオを結成し、アルバムをリリースした。トリオによる前作から、さらにストレートアヘッドなジャズにシフトしたニュー・アルバム『Eternal Child』と、イタイ・シムホヴィッチ(ピアノ)とエヴィアタール・スリヴニク(ドラムス)のニュー・トリオについてお伝えしよう。
このニュー・トリオは、爆発型のパワー・ユニットだった、ガイ・モスコヴィッチとロニ・カスピのトリオより、内省的にジャズのインサイドを探求している印象を受ける。イタイ・シムホヴィッチはまだ20代前半。イスラエルでクラシックとジャズを学び、アヴィシャイの影響を受けながら、自らの音楽言語を確立した。エヴィアタール・スリヴニクは20代後半で、バークリー音大卒業後、ニューヨークを拠点に活躍している。繊細で柔軟なリズム・センスが魅力なプレイヤーだ。また4曲に、1996年に共にチック・コリアのニュー・グループ、オリジンに起用された盟友、ジェフ・バラード(ドラムス)が、参加している。

アルバム・タイトルの『Eternal Child』は、チック・コリア・エレクトリック・バンドが1988年にリリースした『Eye Of The Beholder』に収録された曲名から取られている。アヴィシャイが、カヴァー曲をタイトル・チューンにするのは、長いキャリアの中で初めてのことだ。振り返れば、当時のチック・コリア・エレクトリック・バンドも、気鋭の若手を、チックが自らの音楽に取り込んだグループだった。後年、アヴィシャイ、バラードが参加したオリジン、ニュー・トリオも同様であった。それから30年近い時が流れ、今度はアヴィシャイが、イスラエルの才能あふれる若手たちから刺激を受け、彼らを世界の舞台へと導いている。
アヴィシャイは、本作を「これまで自分が歩んできた音楽的探求を全て映し出した作品であり、今の自分へと辿り着くまでの道のりそのもの」と語っている。まさに現代イスラエル・ジャズが、世界のジャズ・シーンで確固たる地位を得たプロセスを象徴している作品と言える。