今月は、マーク・ターナーのピアノレスのカルテット、そしてレクナー/クチュリエのデュオ(チェロ/ピアノ)が秀逸!でした(マークは同じころ発売されるビル・フリゼールが参加したステファノ・ボラーニの新譜にも参加していますので、こちらも是非)。マークの新譜『LATHE OF HEAVEN』は、二管(SAX/TP)にドラムとベースのカルテット。ハーモニーに縛られない面白さは、リズムを面白くするためだったのか!という内容です。ヴィジェ・アイヤー、アルフレッド・ロドリゲス、菊地成孔に夢中な方は是非!
そしてレクナー/クチュリエのチェロ/ピアノのデュオは、もはやECMのスタンダードとなったグルジェフの作品で幕開け、クチュリエのオリジナル、モンポウの作品と続くモーダルな旋律の静けさが美しい。中島ノブユキ、伊藤志宏/藤本一馬に夢中なら是非! 思えばジョージ・ラッセルのリディアンクロマチックコンセプトが70年代に与えた影響下にECMは出発した、そんなことを思い起こさせる二枚です。
すべての音楽理論の基礎をなす、倍音(OVER TONE)を前作のタイトルにしたアルバムをリリースしたBenedict Maurseth/Asne Valland Nordliの新作は、北欧のアルカイックな響きと調べがECMのエコーに美しく溶けていきます。そしてプログレ丸出しのリフで盛り上がるルイス・スクラヴィス・カルテットの新譜は、バスクラリネットの音色とエレピの音色がなんともまろやかにブレンドする。そしてNEWSERIESからはハインツ・ホリガーの室内楽作品(これいい!)、シューマンのヴァイオリン・ソナタを収録した作品がリリース、シビアの響きが凛と残暑をクールダウンさせるかも。