音楽に自らの人生をささげ、四季を通じて歌い続ける玉置浩二。
最新ライヴ映像作品がUHQCD 2枚組付きで2タイトル同時リリース決定!
「玉置浩二 Concert Tour 2024 Resume ~レジューム 新たな始まり」
2024年に行われた全国ツアーの中から東京ガーデンシアターでのファイナル公演の模様を収録
玉置浩二が2024年8月から11月まで、全国27か所36公演を行ったツアー「Resume ~レジューム新たな始まり」の映像とライヴアルバムをパッケージした作品になる。

当初いつどこで撮影されたものか、データをチェックせずに映像を観始めた。オープニングで前奏曲“あこがれ”が流れるなか、客席後方からステージを映した場面から始まる。それをあとから冷静に見ると、決して小さな会場ではないことはわかる。
でも、“あこがれ”につづいてご本人が登場して、②“星になりたい”を歌い始めると、会場全体が信じがたいほどの静寂に包まれるというか、誰もがじっと歌に聴き入っている空気感が映像を通しても伝わってくる。きっと大きなホールだろうに、無観客かと錯覚するほどの静けさ。もちろん1曲ごとに割れんばかりの拍手は起きている。不思議に思って歌により耳を傾けると、なるほどこの歌詞がそうさせているのだろう。
“星になりたい”は、「約束だったよね~♪」と歌い始め、③“キラキラ ニコニコ”も、「ハイ元気ですか?」だし、④“出逢い”は、「連絡はないけれど、元気でいますか?」という歌詞から始まる。それは、まるで久しぶりに再会する玉置浩二から観客へのあいさつのようで、誰もがそれぞれの曲で彼との会話をかみしめているのではないのか。
そんな静寂が⑤“瞳の中の虹”、⑥“灯の灯るところへ”、⑦“aibo”、⑧“ぼくらは…”と続くわけだけれど、この5曲では人生を振り返ったり、この空間にいられる歓びを感じているのかもしれない。第1部がメロディアスな曲で編成されていることもあるけれど、観客の姿は見えないのに、とにかく全身で聴き入っているのがわかるのだ。
そして、インターミッションを挟んで、第2部も⑩“なにもない海へ”からまた静かにスタートする。⑫“悲しみにさよなら”になって、ようやくカメラが客席をとらえると、ライティングの都合で、まだ全貌は見えていないけれど、アリーナ席から4階席まで観客で埋め尽くされているのは間違いない。こんなにもいたのか!! この会場はどこ? 急ぎ調べてみると、キャパ7千人弱の東京ガーデンシアターだった。これほどの観客がステージの玉置浩二をひたすら見つめて、歌に聴き入るなかでの、ここまでの濃密な静寂にあらためて驚く。
この“悲しみをさようなら”の歌詞を「愛を世界の平和のために~♪」と変えて歌うと、大きな歓声が巻き起こる尊さ。長年築きあげてきた深き信頼関係が垣間見える瞬間だ。
順番が前後するけれど、⑪“サーチライト”の後で、メンバー紹介がある。パーカッション・中北裕子、トロンボーン(&ハーモニカ&リコーダー)・佐野聡、サックス・門田“JAW”晃介、ベース・千ヶ崎学、ギター・秋山浩徳、ヴァイオリン・藤堂昌彦、森本安弘、吉田宇宙、名倉主、ヴィオラ・亀井友莉、キム・ヒョヒン、チェロ・広田勇樹、稲本有彩、そして、サウンドプロデュース&キーボードのトオミヨウの計14名のバンド。メンバー紹介は、コンサートではひとつの儀式だけれど、そこに関係性が見えてきたりする。玉置浩二と離れた場所にいるメンバーがハグをする仕草などで交わすあいさつが愛に溢れていて、36公演を共にしてきたチームの絆を感じさせる。この日がツアー最終日だった。
また、ミュージシャンの演奏を楽器にフォーカスして、画面いっぱいに映し出す演出もよく、これは映像作品ならではの大いなる魅力だと思う。客席からはこの指使いまでは見られないから。そして、全員でこの音楽を紡ぎだしていることがリアルに感じられるのがいい。

⑬“JUNKLAND”は、いつでも会場を沸かせる人気楽曲だけれど、演奏が進むにつれてステージも客席もどんどん興奮していくのがわかる。映像を観ていても気持ちが高揚していくのだから。そのなかで一瞬だけカメラが向けられるヴァイオリンが驚き。メンバー紹介の時にヴァイオリンは女性奏者が多いイメージなのに、4人全員が男性って珍しいなと思った。その4人がヘッドバンキングで激しくリズムを刻みながら、ヴァイオリンを弾いているのだ。そんなミュージシャンの熱気に煽られてか、客席も次第に熱を帯びていき、手拍子がどんどん大きくなっていく。
ここから⑭“田園”、⑮“メロディー”、⑯“夏の終わりのハーモニー”と名曲が続く。おそらく7千人弱の満足感は、ここで大きく振り切っていたはずだ。なかなか鳴りやまない拍手がそれを物語っているが、ここで終わりではなかった。
14名のメンバーを見送った後、ひとり残った玉置浩二がスタンドマイクを準備し、アコースティックギターを抱えてアンコールで歌い始めたのが“ワインレッドの心”。1984年の大ヒット曲に歓喜の声があがる。さらに安全地帯の“恋の予感”、“じれったい”と、ソロ楽曲“MR.LONELY”をアドリブを交えながら、時にはマイクから離れて肉声で、歌を自在に操りながらメドレーで歌う。観客の大合唱、コール&レスポンスもあり、ステージ後方のカメラが明るくなった客席を映すと、そこに性別も世代もさまざまな観客が立ち上がり、一体となっている光景が広がっている。なんて美しいのか。
コンサートの演出として、このセットリストが意図するところは、別にあるかもしれないけれど、私には第1部が玉置浩二と観客が真剣に向き合った一対一の個人戦、第2部はアーティスト、ミュージシャン、観客がひとつとなった団体戦のように思える。そのなかで観客の感情がそれぞれ違った揺れ方をして、その余韻を大切に抱えて日常に戻っていく。「Resume ~レジューム新たな始まり」は、そこまで想像させるライヴであり、そんな想像も楽しい作品である。 *服部のり子