青い未完のままで迎える10年目の昂揚は、さらなる広がりへと向かう序章となる――高まる評価のなか、4人の絶好調な現在を映したニュー・シングル“Opia”が到着!
チャンスを無駄にしない
〈青色〉をコンセプトに活動する4人組ヴォーカル・ユニット、CYNHN(スウィーニー)の描き出す深遠な青の世界が、結成9周年を迎えて、さらに大きな広がりを見せている。結成メンバーの綾瀬志希・月雲ねる・青柳透に広瀬みのりを加えた現体制での集大成となる傑作アルバム『INVERSIOИ』を2025年4月に放ち、海外遠征も精力的に行うなか、同年11月には自身最大規模となる恵比寿ザ・ガーデンホールでのワンマンをソールドアウト。今年1月にはメイン・ソングライターの渡辺翔が田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN/THE KEBABS)とタッグを組んだシングル“ループバック・ロールトラッシュ”が話題を呼び、4月にはその渡辺の作家活動20周年を祝うライヴ〈Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026〉でTrySailや内田真礼ら人気の声優アーティストと並び立つパフォーマンスが評判に。これまでもアイドル畑では実力派として知られてきたCYNHNの魅力が、ここにきてより広範囲に浸透しはじめた印象だ。
青柳透「最近はいろんなイベントに呼んでいただけて、求められている場所が増えて嬉しいです。〈翔フェス〉もCYNHNを初めて観る人が多かったなかですごく反響があって。会場の豊洲PITは私たちが目標にしている3000人規模のキャパだったんですけど、ステージに立った時に〈あ、これはいけるな〉と思ったし、いままでやってきたものを委縮することなく出すことができました」
綾瀬志希「9年やってきてうまくいかないこともあったけど、最近は4人の意識が1つになっているのをすごく実感しますし、いろんな人がCYNHNのライヴや歌を評価してくださっているので、そのチャンスを1つも無駄にしない気持ちで、自分たちから掴みに行くようにしています!」
そんな好機に新たな色を添えるニュー・シングル“Opia”。今回も表題曲は渡辺が詞曲を担い、編曲には高橋諒(Void_Chords)を迎えて、ハウスやクラブ・ジャズの意匠を溶け込ませた華美なアレンジと艶やかな四声の交わりが、ネオン煌めく夜の街のような濃紺の青を描き出す。
広瀬みのり「歌詞の吸い込まれるような世界観が音でも表現されていますし、メンバーそれぞれの違った声質も合わさって、〈CYNHNの青い世界にハマっちゃったでしょ?〉っていう危うさがあって、すべてにおいて中毒性がある曲です」
月雲ねる「デモを聴いた時、アップテンポでお洒落な感じに“キリグニア”(2022年)の系譜を感じて〈めっちゃいい曲!〉と思ったんですけど、早口で複雑なリズムの中に言葉がぎっしり詰まっていて、〈あ、これ自分が歌うんだ、ヤバい!〉って思いました(笑)。私はリズムが大事なパートを任されることが多いので、声は割とニュートラルなポジションに置きながら、リズム感をしっかりキープすることを意識して歌いました」
志希「ねるちゃんがバランスを取ってくれているから、私は自由に暴れられる部分があるんです。ねるちゃんの声はすぐ見つけられるし、宝石というかクリスタルみたいな綺麗で耳を奪われる声だと思っていて。ちなみに透ちゃんの歌は〈風〉。緩やかな風を吹かせたかと思えば、ライヴの煽りで嵐みたいな渦巻きを起こしてくれる自在さがあるから」
透「それで言うなら、みのりちゃんは〈木漏れ日〉、志希ちゃんは〈炎〉だね(笑)」
私たちのことを歌っている
同じく渡辺と高橋によるカップリングの“春を攫った”は、室内楽 × ポスト・ロック的なアンサンブルが春風のように吹き抜ける美麗な先行配信曲。移ろいゆく季節の儚さに青春のブルーな感情が呼び起こされる。
志希「春って一瞬で過ぎ去るし、桜もすぐ散るからこそみんな見に行きますよね。でも、一度きりで終わりじゃなくて。来年も再来年も必ず巡ってくる。その春のあり続ける姿が、アイドルそのものだと思うし、この曲を歌っていると〈私たち自身のことを歌っているな〉と強く感じて。CYNHNのことをよりいっそう大切に思える曲です」
みのり「ただ綺麗なだけじゃなく、〈どうしても終われない暦〉という部分から感じるCYNHNの大切な歴史や、〈踏まれた花、舞台にして。〉のようにCYNHNの歩みを感じさせる泥臭さも歌詞に詰まっていて。来年の〈10周年の春を一緒に迎えようね〉というテーマも感じさせる大事な曲ですし、〈来年も歌えますように〉という祈りを込めて歌っています」
ねる「満開の桜ではなく、散って地面に広がった花びらにフォーカスを当てているのもCYNHNらしいなって。この曲をまた来年の満開の春に歌えたら、その時にようやく“春を攫った”と言えるのかなと思います」
カップリングにはもう1曲、代表曲“水生”(2020年)など多数の楽曲でアレンジを担当してきたebaが初めて作曲で関わった“御似合い”(作詞は渡辺)。アシッド・ジャズ的なタメの効いたバックビートに不敵な4人の歌声が青い炎のように揺れる。
みのり「この曲は〈怒り〉がテーマ。喜怒哀楽を表現してきたCYNHNでもここまで怒に振り切った曲は珍しいですし、メンバーそれぞれの怒りの表現の仕方が全然違うのがおもしろくて」
透「歌詞を最初に見た時は〈ボス気取り〉とか〈猿の類い〉とか強い言葉が並んでいて驚きました(笑)。歌う時もちょっと嘲笑うようなニュアンスを求められたりして。休符で遊ぶグルーヴ感も歌っていて楽しいです」
ねる「“Opia”とは対照的で、ヴォーカルのセンテンスが長いぶん遊べる余白がたくさんあるから、みんなのテクい部分が散りばめられていて。歌割も1番が志希ちゃんと私、2番が透ちゃんとみのりちゃんというペア分けになっていて、よりヴォーカルをじっくり聴かせる構成になっています」
夢を叶えていく姿
ひと口に〈青色〉と言ってもさまざまな色彩があることを四声の妙味で巧みに表現した3曲。これを入口にCYNHNの世界に踏み込んだら、次に体感したいのはライヴだ。11月16日には過去最大キャパとなるZepp DiverCity(TOKYO)でのワンマンが控えている。
透「2022年に立った時はコロナ禍の制限があったので、フルキャパは今回が初めてなんです。その日を成功させられたら、目標の3000キャパの後ろ姿を確実に捉えられると思うし、少し時間はかかりましたけれど、私たちが夢を叶えていく姿を一緒に体感してほしいです」
ねる「4年前のZeppはバンドも舞台装飾もない身一つで、悔しい思いも残るライヴでした。今回はみのりちゃんがいて、バンドがいて、新しいファンの方もたくさんいてくれる。これ以上ない心強い状態でリベンジできるので、最高のステージをお見せします」
みのり「9周年を迎えて〈いまのCYNHN、勢いがあるね〉と言っていただけることが増えたので、その期待に応えたいですし、自信をもってメンバーと一緒にZeppを思いっきり青色に染め上げます!」
志希「Zepp DiverCityは、私たちにとっても〈もう一度あそこに立ちたい〉と願い続けてきた場所。Zeppワンマンの開催が決まった日も、ちょうどメンバー同士で〈Zeppでやりたいね〉って話していたんです。このチャンスをしっかり掴んで、観に来てくれた方の人生のでっかいパズルのピースになるような一日にしたいです! 待ってますよ(イケボ)」
渡辺翔が制作に参加した近作。
左から、岬なこの2026年作『Repeated Reflect』(Lantis)、DIALOGUE+の2026年のシングル“夏に重ねて”(ポニーキャニオン)
Void_Chordsの2025年作『Supercritical』(Lantis)
CYNHNが刻んできた歴史を辿る名曲だらけのディスコグラフィー(の一部!)
2017年のデビューから6人体制で重ねてきたシングル5枚を中心にした初のアルバム。“はりぼて”を筆頭に渡辺翔による名曲が揃い、エレガントなバンド・サウンドがピュアな歌唱からリリカルな青を引き出している。リード曲“ラルゴ”では田淵智也がベース演奏に参加。
コロナ禍やメンバー脱退などの不安定な状況下で、2019年からの楽曲を当時の4人体制で集大成した2作目。eba編曲の鮮烈な代表曲“水生”をはじめ、この時期の内省的なトーンがグループに授けた固有の美は明らか。草野華余子やケンカイヨシらの新機軸も光る。
前年の“キリグニア”に続く広瀬みのり加入後の5人組で届けた2枚目のシングル。ジャジーなピアノに翻弄される渡辺翔 × eba作の表題曲は、音楽性の幅を広げた当時を象徴する快曲。Sundae May Clubの浦小雪による直球の青春ロック“ベイビーブルー”も異色でいい。
現4人体制の初音源集となったミニ・アルバム。初顔合わせの作家陣を起用する点では『#0F4C81』(2020年)と同様の試みで、水槽による“リサイズ”が幻想的な繊細さを響かせる一方、アカシックの理姫 × 奥脇達也による剥き出しの“ジンテーゼ”もエモーショナル。
渡辺翔 × ebaコンビの名曲“いいおくり”や100回嘔吐アレンジの“飴玉”など前年の配信曲を軸にした3作目。ファンキーな“ノミニー”や綾瀬が作詞したポスト・ロック“バニラ”など色合いの幅も広いが、曲ごとに映える各人の歌唱表現が何より魅力的で凄まじい。
田淵智也が初めて作曲で参加した表題曲も話題となった今年1枚目のシングル。その性急なキャッチーさに圧倒されつつ、翳りの音世界を駆ける笹川真生アレンジの“もうだいじょうぶ”、屈託なくポップな“わるいこと”と曲ごとに各人の歌声のコントラストも見事だ。






