いまが旬のバーガーに、思いっきりかぶりつけ!!
エディ・スリマンに気に入られ、〈Saint Laurent Music Project〉にフィーチャーされたカーティス・ハーディングのファースト・アルバム『Soul Power』がヒットしたことも弾みになったと思うし、近年のカセットテープ・ブームの流れにうまくフィットしたと捉えることもできるが、とにもかくにも、じわじわと知名度を上げてきたバーガー・レコーズは、昨年を境に一気に波に乗った印象がある。なかにはかつてのサブ・ポップやディスコードを引き合いに出し、レーベルのブランド力を称える声もあるぐらいだ。
そもそもバーガーは、ジー・メイクアウト・パーティー!というパワー・ポップ・バンドのメンバーだったショーン・ボーマンとリー・リッカードが、自分たちのシングルをリリースするため、2007年にLA郊外のフラートンで始めたプライヴェート・レーベルだった。以来、「所属しているバンドがみんな満足していることと、人々の耳を良い音楽に向けさせること」(ショーン:以下同)をモットーに、カセットテープやLP/7インチ中心のリリースを重ね、2009年にはレコード店もオープン。現時点でのカタログ数は500強。その大半がパンク/ガレージ・ロック/パワー・ポップで、全体的にどこかナードでキッチュな雰囲気を纏っている点が特徴だ。
「僕らは音楽オタクだから、何年もずっと50年代、60年代、70年代、80年代、90年代、2000年代の音楽を聴いたり、リサーチしたりしながら過ごしてきた。出だしの5秒を聴けばそのバンドが本物かどうかわかる。それがノー・ブランドだろうと、ヒドイ音質のモノだろうと簡単だ。好きなものは好きだし、そのことについては絶対に妥協しないんだよ」。
〈インディー〉とは名ばかりで、インディーらしいインディー・レーベルが少なくなってきた昨今。ショーンも語っている通り、売れ線かどうかは二の次で、自分たちの好きな音だけを世に送り出してきたこだわりが、リスナーから信頼を得る理由となったのは疑う余地もない。
この春夏にはオリジナルのアパレル・ラインを本格的にスタートさせるそうだ(それに先駆け、現在バーガーのグッズを扱うポップアップ・ショップが都内で展開中)。これまでもレーベルの持つキッチュな感覚を形にしたTシャツなど、さまざまな関連アイテムがオシャレに敏感な若者たちから支持されてきたことを思えば、ファッションを入口にバーガーに興味を持つ人たちがより一層増えていくに違いない。徐々にCDでのリリースも増えはじめ、所属アーティストの顔ぶれも幅広いものになってきた。今後ますます目が離せなくなりそうな同レーベルを、この機会に改めてチェックしてみてはいかがだろうか。