70sのパンクをイマのモードで消化するバーガーきってのファッショニスタは、未来のロックを救えるか?
バーガーの顔役としてキッズから絶大な支持を集めるレックス・オスターキャンプ。エディ・スリマンがクリエイティヴ・ディレクターを務め、ダフト・パンクやジョニ・ミッチェルなど、さまざまなミュージシャンとコラボレーションしているサンローランのコレクションに、昨年モデルとして大抜擢されたことで、その存在を知った方も少なくないだろう。
「サンローランでの経験はとても有意義なものだったよ。人生に良い変化をもたらしてくれた。なかには〈モデルにでもなったのか?〉って揶揄する声もあったけど、世界に自分の名前を知ってもらえる良い機会になったからね」。
カリフォルニア州はオレンジで生まれ育った彼は、6歳の時にギターをプレゼントされたことがきっかけで音楽にのめり込むようになる。少年時代にはダムドやサッカリン・トラストなどのパンクスに憧れ、高校に入るとすぐにバンド活動を開始。
「エネルギーとスピード感のある楽曲が好きなんだ。でも、パンク以外にもいまはいろいろな音楽から影響を受けているけどね。ディーヴォとかキュアーとかさ」。
そして数々のバンドを渡り歩いた末に、2013年からレックス名義でソロ・プロジェクトを始動する。以降、わずか2年足らずのうちに3枚ものアルバムを、カセットテープや配信という形でリリースしてきた。
「手を止めるのが嫌なんだ。一人であれば、好きなタイミングに気に入った音を発表できるしね」。
こうして、このたび初のCD作品となるニュー・アルバム『I Really Tried To Save The Day』で、満を持しての日本デビュー。もちろん、今回もほぼ一人で楽曲を完成させたそうだ。
「特にアルバムのコンセプトはないね。思い浮かんだアイデアを音にしていったという感じだよ。タイトルに関しては、頭のなかになぜか残っていた言葉をそのまま付けただけ。〈もし自分が正義のヒーローだったら?〉って想像したんだ。きっと世界を救うミッションが課せられるんだろうけど、失敗して〈ごめん、うまくいかなくって。次こそは成功するからさ〉って言うんだろうなって」。
そんな本作は、彼のルーツであるパンクやガレージ・ロックの勢いを感じさせながらも、今様のサーフ・ロックやサイケデリック・ポップの雰囲気を取り込んだ仕上がりに。言うなれば、ベックやMGMT、ドラムスなどにも通じる世界観だ。
「ありがとう。確かにそういう要素は好きだし、自分の身に染み付いていると思う。でも特に意識はしていなくて、良いギター・リフが見つかったら、そこに肉付けしていくだけなんだよ」。
そうした自然体のスタイルで、レックスが未来のロックの救世主となる日も近い!?