「オーケストラの若き団員たちは、さながら奏楽天使のように演奏していた。まさしく、“いっそ死ぬなら今だ”と思ったほどだ」ケン・ウォード白沢達生訳)。ブルックナーを壮麗壮大に演じる動きは本国でも同様のようだ。フランス人指揮者レミ・バローが平均年齢17歳の青少年オケを率い、ブルックナーゆかりの聖フローリアン修道院教会で成し遂げた104分演奏。その広大な拡がりと輝かしさをもった演奏は、少しの重苦しさも押し付けがましさもなく、明るく、軽やかでさえある。ロマン派的表現とは一線を画した、ルネサンスの宗教曲のような美だ。ブルックナーにとことん浸ることのできる音盤の登場である。

【参考動画】レミ・バロー指揮、ザルツブルグ交響楽団の演奏によるブルックナー作曲“交響曲第4番”