古今東西の大指揮者から10人を選び、そのキャリアと人生をひも解き、何を成したかに迫った歴史ドキュメンタリーです。誰が選ばれているかは皆様が想像したうえで実際に確認して頂くのが面白いでしょう。いわゆる演奏比較評でなく個々の人物像をリアルかつ分かりやすく描き、相互の関係性までさりげなく提示する視点がユニークで「クラシック音楽から見た世界の近現代文化史」としても興味深く読めます。個人的にはミュンシュ、カラヤン、小澤征爾さんにある種の連続的共通項を感じたのが面白かったです。こういった書籍としては珍しく文庫版なので手を伸ばしやすいと思います。