武蔵野市民文化会館リニューアル・オープン記念特別公演! “全曲演奏会の武蔵野”が贈る、日本で1回だけの究極のプロジェクト
マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミー管弦楽団が、ベートーヴェンの交響曲を全曲演奏する。一年あまりのホール改修工事のあと、オープニングとしてこういう企画をもってくるとは、さすがは企画力の武蔵野、なかなか心憎い。「旬の」「話題の」というよりも、それになりかけている演奏家を一足早くピックアップして紹介する武蔵野文化事業団ならではのセンスが光る。決してド派手ではないが、じわじわくるマニアックさというか。
ハーゼルベックはオルガン奏者、作曲家としても知られた指揮者で、1985年に自ら創設した古楽オーケストラ、ウィーン・アカデミー管弦楽団を率い、ハイドンやフックス、モーツァルトなどウィーンゆかりの作曲家の作品を取り上げてきた。リストの交響詩全集やブルックナーの交響曲第1番をピリオド楽器で録音して話題にもなった。
そんな彼らが、最近はベートーヴェンの交響曲プロジェクトに取り組んでいる。いずれも初演された当時の編成や演奏法を踏襲するだけでなく、初演された場所でレコーディングを行うという徹底ぶりだ(ウィーンには、ベートーヴェンが交響曲を初演した建物の多くが残されているのだ)。
アルファ・レーベルからリリースされているこのコンビのベートーヴェンのディスクは現在4タイトル。その生々しい喧騒ぶり、その荒々しさが、ベートーヴェンが目指していた斬新なサウンドをダイレクトに伝える。とはいえ、ドイツや英国のインターナショナルな古楽オーケストラとは違い、そこはやはり陰影深いウィーン。機能性よりも、素朴な質感が際立っているのがいい。ドライに疾走する行間に、しっとりとした情感も宿る。
ディスクでは、交響曲第7番と《ウェリントンの勝利》を組み合わせた一枚がお薦め。ベートーヴェンの奇抜なアイディアを、衒いなく純朴に実現させることで導き出される音楽のみずみずしいこと。意外なところでは、劇音楽《エグモント》はドイツ語ナレーションに加え、ジョン・マルコヴィッチの熱演に引き込まれる英語ナレーションも付く。
今回、まだレコーディングされていない第5番や第6番、そして第9番を含めたすべての交響曲が、武蔵野市民文化会館で演奏される。野性味と艶っぽさを備えた、ウィーンならではの古楽オーケストラによるベートーヴェンを堪能する絶好の機会だ。
LIVE INFORMATION
《武蔵野市民文化会館リニューアル・オープン記念特別公演》
ウィーン・アカデミー管弦楽団"ベートーヴェン交響曲全曲演奏会"〈全4回公演〉
○4/20(木)~23(日)
出演:ウィーン・アカデミー管弦楽団
指揮:マルティン・ハーゼルベック
会場:武蔵野市民文化会館 大ホール
プログラム:
《4月20日(木)午後7時開演》
交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」
交響曲第7番イ長調 op.92
《4月21日(金)午後7時開演》
交響曲第4番変ロ長調 op.60
交響曲第5番ハ短調 op.67「運命」
《4月22日(土)午後3時開演》
交響曲第1番ハ長調 op.21
交響曲第2番ニ長調 op.36
交響曲第3番変ホ長調 op.55「英雄」
《4月23日(日)午後3時開演》
交響曲第8番ヘ長調 op.93
交響曲第9番ニ短調 op.125「合唱付き」
*曲順等は予告なく変更となる場合がございます。ご了承下さい。
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