Love City 2015
[ 特集 ]都市インディーの源流

音楽の聴かれ方、表現の仕方が大きく変化した90年代。その幸福な時代を起点に、多様化する〈街の音楽〉など現在の日本のインディー界隈の源流を紐解いてみよう

 


 

THROW BACK 90s
本特集と結び付くトピックは、新旧の洋楽をセンス良く配したコラージュ・ポップ的な一面もある〈渋谷系〉や、MONDO GROSSO~大沢伸一プロデュース作品あたりのアシッド・ジャズか。ほか、Sugar's CampaignやIdiot Popなど90年代のサブカルチャーやJ-Popに言及する新世代も。

 

小沢健二 LIFE ユニバーサル(1994)

ソウルを主体に多様なネタを敷いたハッピーなグルーヴが〈渋谷系〉の絢爛期を象徴する、サンプリング・ポップの金字塔。スチャダラパーをフィーチャーした“今夜はブギー・バック”や“ラブリー”といった彼の代表曲が一枚のなかでひしめき合っており、ここから派生した日本のポップ音楽の数は計り知れない。 *土田

 

 

野佐怜奈 don't kiss, but yes EMISSION(2012)

プロデュースに元ピチカート・ファイヴ高浪慶太郎、演奏にポータブル・ロックを迎えた自身名義の初作。“スウィート・ソウル・レヴュー”風味の冒頭曲は90sの渋谷を思わせるものの、マリアンヌ東雲西浦謙助アゼル&バイジャン)も作家陣に名を連ね、ソウルの薫りと歌謡性、〈あの頃〉と〈いま〉が交錯する一枚に。 *土田

 

 

OK?NO!! Rhapsody VYBE(2015)

吉田ヨウヘイgroupreddamがフロントを務めたバンドによる唯一の作品。ジャズやソウル、60sロックをブレンドしたサウンドと、キュートながらどこか素っ気ないヴォーカル――つまり、どこを取ってもCymbals直系のスタイルだ。フリッパーズが解散した年に生まれた子供たちが体現する〈渋谷系〉がここに。 *土田

 

 

ヒックスヴィル WELCOME BACK VILLAGE(2014)

15年ぶりのフル作だが、小沢健二らのサポートや本作でセルフ・カヴァーしたでんぱ組.inc“口づけキボンヌ”など数々のシティーな楽曲提供で不在感は皆無。開放的なファンカラティーナ“レトロピカーナ”から洒落たポップセンスが全開だ。バンド感が前に出ていたShiggy Jr.の初作にも、彼らの面影があったような。 *土田

 

 

GREAT3 WITHOUT ONION ユニバーサル(1998)

AORUSオルタナの融合を軸に、後にはポスト・ロックとの合流を果たした東京出身の3人組バンド。この4作目では、アブストラクトなビートやホーンを交えたディスコ・ファンクの要素を散りばめており、メロウでいて、どこかストレンジな音世界には特有のサイケデリック感覚が息づいている。 *小野田

 

 

ICE ICE ~20th Anniversary Best HIGHER LOVE ユニバーサル(2013)

93年にデビューし、スタイリッシュなソウル・ポップで人気を得た男女ユニットの20周年記念盤。当時の渋谷界隈において彼らを特徴付けていたのは、国岡真由美の優雅なヴォーカルが呼び込むアダルトなグルーヴ感だろう。2007年に他界した宮内和之に代わり、田中義人が手掛けた新曲“HIGHER LOVE”も収録。 *土田

 

※【特集:都市インディーの源流】記事一覧はこちら