Love City 2015
[ 特集 ]都市インディーの源流
音楽の聴かれ方、表現の仕方が大きく変化した90年代。その幸福な時代を起点に、多様化する〈街の音楽〉など現在の日本のインディー界隈の源流を紐解いてみよう。


 

cero
野蛮さを孕む街の音楽が、夜を越えて誘う場所

〈影〉からのメッセージ

 2013年末の“Yellow Magus”、そして、2014年末の『Orphans/夜去』という2枚のシングルが予告していたceroの新たな音楽冒険譚であるニュー・アルバム『Obscure Ride』。光と影が揺らめく雑然とした夜のワン・シーンから彼らの紡ぎ出すしなやかなグルーヴがゆっくりと立ち上がってゆく。

 「昨年夏、合宿でアルバム用の新曲を作ってはライヴでプレイするようになっていたんですけど、そんななか、〈影のない人が現れてはメッセージを伝えに来るものの、そのメッセージを受け取ることができない〉という次のアルバムのコンセプトが徐々に立ち上がっていったんです。〈影〉というのは、僕らが想像力を掻き立てられている音楽のブラックネスであったり、生と死や僕らが夜遊びしているクラブの暗がり……そうしたイメージと結び付いたことで、今回、〈影〉という言葉を意識的に使うようになったんです」(高城晶平、ヴォーカル/ギター/フルート)。

cero 『Obscure Ride』 KAKUBARHYTHM(2015)