4 the SUMMER in you
[ 特集 ]夏フェスを聴こう、2015。
今年もこの季節がやってきました! 楽しい日々をもっと楽しくするために、スケジュール調整といっしょに耳の夏支度もそろそろ始めませんか~!?
SMALLPOOLS
タップしたが最後、このサマー・パーティーからは絶対に逃れられないよ!
パッション・ピット、MGMT、フォスター・ザ・ピープルの活動サイクルが2周目、3周目に入ったいま、彼らの後継者と呼べる期待の新人が登場した。それがLA在住の4人組、スモールプールズだ。ハイトーン・ヴォイスに彩られたダンサブルなインディー・ロックを鳴らし、煌めきまくりのポップ・シャワーが降り注ぐ。そんな同グループの人気を決定付けたのが“Dreaming”というナンバー。なかなか曲が出来ずに悪戦苦闘していた時、思わず〈これが全部夢だったらな~〉と呟いたのがきっかけで生まれたらしい。PVでは、大盛り上がりのハウス・パーティーから逃れようとするが、何度逃げ出してもまた舞い戻ってしまうドタバタ悪夢が描かれている。フロントマンのショーン・スキャンロン(ヴォーカル/キーボード)の役者ぶりも観モノなのだが、よくよく考えるとパーティーは彼らの十八番。同曲を収めたファースト・アルバム『Lovetap!』は、全編パーティー・ヴァイブで溢れ返っているのだから。
「もともと僕はNYの出身だけど、もう寒い冬はゴメンだったし、僕らの音楽にインスピレーションを与えてくれるのはLA以外にないって考えたんだ。もちろんいまはネットもあるから、どこでも音楽は作れるけど、ヤシの木や、真新しい雰囲気や、プロデューサーの存在は大きいよ」(ショーン:以下同)。
そのプロデューサーとは、キャプテン・カッツの3人のこと(うち2人が今回のアルバム制作に関与)。ウォーク・ザ・ムーン“Shut Up And Dance”のソングライティングや、グループラヴ(1人はメンバーも兼任)をはじめ、トーヴ・ロー、マリーナ・アンド・ザ・ダイアモンズらを手掛ける注目株だ。
「彼らは探究心に溢れていて、どんなに時間を掛けても素晴らしい音楽を作りたいと思っている。ゼロからやり直した曲もあるよ。でもエゴなんて皆無だし、遠慮なく思ったことを言い合える、友人みたいな関係なんだ」。
そもそもショーンとギターのマイケル・カマーマンは東海岸の出身。残り2人はポートランド生まれで、各自が別のバンドで異なるキャリアを積んできた。そのためか、楽曲にはサーフ・ロックからアフリカ音楽、カリプソなどさまざまな影響が顔を覗かせ、パーティー・ムードをいっそう盛り立てている。
「世界中の音楽をチェックしてきたわけじゃないよ。ただクールなパーツを集めたらこうなった。でも、いまにして思うと、子供の頃に母親がポール・サイモンを聴いていたのは大きかったかな。彼の音作りやメロディー、歌詞が大好きなんだ」。
それぞれが経験豊かということで、ライヴでの演奏力も期待できそうだし、何せ2013年の結成以来たっぷりツアーを重ねている。例えば、これまでにネオン・トゥリーズ、トゥエンティ・ワン・パイロッツ、トゥー・ドア・シネマ・クラブなどの前座や、マジック・マンとのダブル・ヘッドライナーもこなしてきた。現行の踊れるインディー・ロック勢のなかでも一際キラキラ度の高いスモールプールズは、今後のシーンを背負って立つ最重要バンドのひとつと言えるだろう。本国でのライヴではファンの盛り上がり方がハンパじゃなく、大合唱が巻き起こることも。『Lovetap!』の日本盤には“Karaoke”なる曲のカラオケ・ヴァージョンも収録されていて、なるほど、〈サマソニ〉には〈これで練習してから臨んでね〉というわけか。確かに、せっかくなら歌いながら飛び跳ねたほうが100倍楽しめるのは間違いない。