劔樹人の自伝的コミックエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」の映画化。松浦亜弥『桃色片想い』との出会いから、ハロプロのアイドルに夢中になった主人公と個性的なハロプロオタク仲間との〈あの頃〉を描いた青春映画。本作の肝は、ノスタルジックになりがちな青春映画における〈あの頃〉をどこかクールに見据えた距離感にある。輝いていた〈あの頃〉は同時に悪ノリが過ぎるしょうもない〈あの頃〉でもあるという距離感。これは「素敵なダイナマイトスキャンダル」の冨永昌敬の脚本の賜物だ。そして、今泉力哉映画ならではの役者たちの素晴らしさ! 中でも後半実質主人公と言っていい仲野太賀が絶品だ。