少年マンガ不朽の名作がTVアニメで復活!
実写映画が大ヒットした「るろうに剣心」やアニメ&実写映画で甦った「寄生獣」など、近年、90年代に人気を博した漫画作品の映像化が続いているが、ここで紹介する「うしおととら」は、まさにそれが待望されていた作品だ。
原作は、藤田和日郎が週刊少年サンデーで90~96年に連載していたバトル・アクションもの。妖怪を退治するために作られた武器〈獣の槍〉を操る少年・蒼月潮と、彼を食らうために取り憑いた大妖怪の〈とら〉のコンビが、人間に害をなす妖怪と戦っていく、というのが物語の大筋。単純な勧善懲悪では終わらないドラマ性の高さと、世界の命運に関わる謎が徐々に明かされていく緻密なストーリー、そして藤田のインクに情熱を迸らせたような作画が、他では得難い濃厚な世界観を生み、連載終了後の97年にはSF賞の星雲賞も獲得した。
完結から約20年を経て実現した今回のTVアニメでは、「はじめの一歩」のTVアニメ版第1期(2000~2002年)を原作に忠実かつ骨太に仕立てた名匠・西村聡を監督に起用。「残響のテロル」「神撃のバハムート GENESIS」などで作画力の高さを示してきたMAPPA(と新興スタジオのVOLN)の制作により、勢いに満ちた藤田節をそのままの熱さでアニメに落とし込んでいる。声優陣の熱演ぶりも素晴らしく、特に潮を演じる畠中祐の少年らしい荒っぽさを残したような声が、少年漫画の王道を行く熱血漢な主人公そのもので快い! さらに音楽面でも瀬川英史による劇伴はもちろん、筋肉少女帯のおどろおどろしいオープニング曲“混ぜるな危険”が作品のイメージにピッタリで、原作ファンも納得のクォリティーだろう。
原作者の藤田がみずからエピソードを厳選し、うしおととらの宿命と絆の物語を全39話かけて最後まで描いていく今回のアニメ化。DVD/BDを全巻揃えるととらのフィギュアがもらえる特典もあり、かつて毎週〈サンデー〉を楽しみにしていた人も、毎週アニメを心待ちにしている現在進行形のファンも、〈うしとら〉の痛快無比な活躍を最後まで観届けない手はない!