とんでもない出来だった昨年の『KING OF CONSCIOUS』までを〈青の時代〉と位置づけ、表記も改めて11か月ぶりに描き上げた新作。ピカソなら次に〈薔薇色の時代〉が訪れるところだが、それこそ先行公開のMVで花束をぶら下げた“狂い咲き”から滲むのは血の色だ。酒場ジャズ歌謡のようにやさぐれた眼光も鋭い同曲のエッジーな雰囲気は、ブレーンのBigoと作り上げたアルバム全編に共通するもの。“The One”に顕著な故ORITOの借景も含め、生来の芸術家肌が開花しているのは明らかだが、殊更に抽象的になるわけでもなく、作品全体の帯びた剥き出しの詩情が、どこをどう歩いて帰ってきたのかわからない擦り傷だらけの表現に実を結んでいてグッとくる。界隈だけでも大作の続く昨今だけど、今月はこれだろう。