コラム

THE CHARM PARK、音楽偏差値の高さ遺憾なく発揮しつつ心の琴線優しく刺激するメロを真ん中に据えた初作『A LETTER』

THE CHARM PARK、音楽偏差値の高さ遺憾なく発揮しつつ心の琴線優しく刺激するメロを真ん中に据えた初作『A LETTER』

韓国生まれ、アメリカ育ち、日本で暮らす男性シンガー・ソングライターから届いた一通の手紙。封を開けると、そこには夢と現実の間をたゆたうような、どこか懐かしい音世界が広がっていた

 オーガニックで柔らかな質感の音が全編を覆い、ノスタルジックなメロディーが耳をそっと撫でる。パッと聴きはハートウォーミングなサウンドでありながら、ふとした瞬間に棘々しい面も覗かせる、一筋縄ではいかないインディー・ポップ――韓国はソウル出身、現在は東京に住む男性シンガー・ソングライター、THE CHARM PARKの楽曲を端的に表現するなら、こんな感じだろうか。

 バークリー音楽大学でギターを専攻した彼は、そこで出会った仲間たちとHemenwayなる4人組のロック・バンドを結成し、2011年にキューンよりメジャー・デビュー。その後、4枚のシングルと1枚のアルバムをリリースするも、音楽性の違いから昨年に解散。これを機にCharmからTHE CHARM PARKへと名義を変え、ソロ活動をスタートさせる。ほどなくしてSoundCloudやBandcampに次々と楽曲をアップするようになり、今年5月にはファースト・アルバム『Reverse & Rebirth』を自主リリース。このたび登場する『A LETTER』は、初の全国流通盤となる6曲入りのミニ・アルバムだ。

THE CHARM PARK A LETTER TOWER RECORDS(2015)

 オープニングのタイトル・トラックと、それに続く“Holding Hands”は、パトリック・ワトソンオーウェン・パレットのようなエレクトロニクスと生音の融合を図った、ドラマティックなチェンバー・ポップに。日本語と英語がナチュラルに混ざり合うリリックも不思議なムード作りに一役買い、淡いサウンドスケープをリスナーに堪能させてくれる。そして3曲目の“Beautiful World”も、始まりこそアコギの弾き語りによるシンプルなものだが、終盤へ向かうにつれて徐々にストリングスと電子音が重なっていき……。そのフィル・スペクターへのオマージュとも取れる分厚い音に身体を委ねれば、きっと誰しもが彼岸の世界を体験できるだろう。

 そうかと思えば、4曲目“Dear Sunshine”では一転、マムフォード&サンズのデビュー作『Sigh No More』(2009年)も顔負けの、跳ねたビートと陽気なコーラスに心躍るネオ・フォークを展開し、5曲目の“Don't Stop”では憂いたっぷりのアコースティック・ポップを披露(同ナンバーを聴いて筆者はエリオット・スミスを思い出した次第だ)。

 ここで一度トーンを落としたところで、ラストの“It's not the same”へと雪崩れ込む。電子ビートと歪んだエレキ・ギターが混沌を生み、ファルセットを駆使したヴォーカルが聴き手のエモーションを煽ってくる――その叙情派ポスト・ロック的な作りは、まさしく『The Bends』期のレディオヘッドの影響下にあるものだ。

 ミニ・アルバムという小品ながらも、聴き応え十分の『A LETTER』。この作品でTHE CHARM PARKは、音楽偏差値の高さを遺憾なくアピールしてみせた。もちろん、芸術点を狙ったタイプの取っ付きにくさはなく、冒頭にも少しだけ書いた通り、すべての曲の真ん中には心の琴線を優しく刺激するメロディーがあって、聴く人を選ばないところが大きなポイントだ。雰囲気ばかりを重要視しがちなよくあるインディー勢との違いは一聴瞭然。いやはや、物凄いアーティストが現れたものである。早くも次作への期待が募るばかりだが、その前にいまはまず本作をじっくりと聴き込みたい。 

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