女性の暗部と我流のラウド・サウンドに振り切った新作のリリース記念! bounceの公開インタヴューと急遽スナックも開店した(!?)ライヴの模様をレポートします!!

 “Empty MERMAiD”のリリース記念イヴェントは、bounceの公開インタヴューからスタート。今回のシングルのテーマを〈毒〉〈女〉に設定したことについてLiSAは、「(ソロ・デビュー前に)バンドをやっていた頃は〈女に何ができるんだ〉と言われるのがイヤで、自分のなかの女の部分をあまり出したくなかったんです。でも、アニメ『Angel Beats!』の劇中バンド、Girls Dead Monsterに関わらせてもらってから〈可愛い〉という言葉も自分のなかで消化できるようになって。それ以降もカッコイイこと、可愛いことの両方をやってきたんですが、デビューから5年経って、いまだったら〈女性〉の良いところ、悪いところも全部、私らしく表現できるんじゃないかと思いました」と説明。カラフルなポップ感と、エッジーなロック・テイストを共存させたみずからのスタイルを改めてアピールした。

 ノンタイアップの作品を〈LiSAタイアップ〉と呼ぶLiSA。そんな場合は彼女自身がルーツに持つ音楽性を特に強く反映させているが、今作もまさにそうしたシングルだ。その収録曲について丁寧に紹介していくなか、THE MUSMUSUPLIFT SPICEから改名)のギタリスト、YOOKEYが作曲した表題曲の“Empty MERMAiD”に関しては、「自分自身が持っているものを認めるということが、私にとっていちばんの武器じゃないかなと思っていて。どれだけがんばっても、太い声、ハスキーな声は出せない。自分の特徴である鋭くてピーキーな声を活かして、私にしか歌えないラウド・サウンドを表現したいと思いました」とコメント。

 また、彼女は12月23日に幕張メッセ国際展示場で開催されるワンマン・ライヴ〈LiVE is Smile Always~メガスピーカー~〉についても、このように言及。

 「今年1年はフェスやイヴェントなどで、初めてLiSAの音楽に触れる人たちに自分たちのことを認めてもらった気がしていて。だからこそ幕張のライヴでは、自分たちの好きなものを〈どう? カッコイイでしょ!〉と大きな声で言いたいんです。そして、〈メガな未来をみんなと一緒にスピークする〉という感じを表現できたらいいな」。

 さらに「去年(2014年)の武道館はライヴハウスみたいな雰囲気のライヴをやって、今年の武道館はエンターテイメントに振り切ったライヴをやらせてもらって。幕張はその両方を楽しんでもらえるライヴにしたいと思っています。みんな、来てくれる?」と観客に語り掛けると、大きな歓声が上がった。 

 イヴェント後半はミニ・ライヴ。「渋谷、いける?」と声を掛けたLiSAは、まず高慶“CO-K”卓史(ギター)、野間康介(キーボード)と共に小南泰葉が作曲を担当したシングルの収録曲“リスキー”をアコースティック・アレンジで披露。恋愛感情の起伏とリンクするドラマティックなメロディーと、〈全てを愛していたい アタシでいいじゃない〉という切実な歌詞が響く。

 続いては「想像してください。皆さん、ここは渋谷の〈LiSAスナック〉です」というMCで始まった“虚無”。艶やかさを感じさせる旋律と場末のスナックをイメージしたという歌詞は、まさに大人の女性のムード。楽曲によって大きく表情を変えるLiSAのヴォーカリゼーションも素晴らしい。この日のために用意されたLiSAのオリジナル・カクテル(ノンアルコール)を手にした観客も「(スナックの)ママ!」と声を上げ、この雰囲気を楽しんでいる様子。

 そして、ラストはもちろん“Empty MERMAiD”。スピード感に溢れたビートとエモーショナルに轟くギター・サウンド、〈空虚なマーメイド〉をテーマにしたリリックに導かれ、オーディエンスのテンションも一気に最高潮へ。ヘヴィーなサウンドを気持ち良さそうに乗りこなしながら、エッジの立った声を放ちまくるLiSAのパフォーマンスはまさに圧巻だ。

 また、会場の挙手アンケートが拮抗しすぎて急遽2曲になったアンコールでは、“Rising Hope”“アシアトコンパス”を披露。歌い終えた後、「“Empty MERMAiD”はとてもダークでカッコイイ曲なんですけど、それだけじゃなくて、立ち止まったときに〈自分を許してあげることって大事なんだな〉と思ってもらえる曲になったらいいなと思います。自分を解放してあげてください。OK?」とフロアに語り掛けたLiSA。彼女のアーティスト性とステージングの魅力が伝わる、充実のイヴェントだった。