場数を踏むことの強さを見たというか、人が成長するにあたって重ねた経験は裏切らないんだなぁと。前回CICADAのライヴ・レポートをしたのが、今年4月に行われた最新作『BED ROOM』のリリース・ツアーのファイナル公演。そこから約半年の間に数えきれないほどのステージを全国各地で踏んできた彼らが、11月4日に初の7インチ・シングル“stand alone”のリリース・パーティーの名のもとに、2015年の集大成(まだ11月だけど……)とも言えるライヴを東京・渋谷WWWで行った。
この日もっとも半年前との違いを感じたのは、フロントマンである紅一点・城戸あき子の溌剌としたパフォーマンスだ。冒頭からガンガン入ってくるラップ・パートは、これまではどこかまだ〈自分のもの〉ではない感じがしていたけれど(失礼!)、だいぶキレ味に違いが見られた。そして彼女の最大の武器である色っぽくて時に儚い歌声はライヴが進むにつれて艶を増し、力強さが際立っていった。合間のMCも含めた城戸の自信溢れる振る舞いは、今回のステージをしっかり引っ張ったと言っていいだろう。
また、“ふたつひとつ”“Naughty Boy”、そして個人的に大好きすぎている“夜明けの街”など、最新作『BED ROOM』からの楽曲が多く演奏されるなか、まだ音源化されていない新曲を前半からバシバシ挿し込んできていたのも印象的。来るCICADAの新しい作品を期待させる良曲揃いで、マイルドにヒップホップ寄りのものや“door”路線の浮遊感のある楽曲、この日のために作ったという彼らのいまの思いをダイレクトにリリックへ込めたエモーショナルなナンバー”Dream on”などが披露された。おそらく、今後はラップを織り交ぜたものが多くなるのかな……という予感が。
そしてもちろん、今回の主役であるCICADA初の7インチ・シングル曲“stand alone”、またの名を〈ドラマー殺し〉(と勝手に付けた)も忘れてはならない! エモーショナルなシンセや歌メロがゆったりとしているので、全体的には大らか&ふくよかな印象ではあるものの、ドラムスの櫃田良輔が高速ドラムンベースを彷彿とさせる細かいビートをひたすら刻み続ける、素人目で観ても〈こ、これは……!〉というナンバーなのだ。彼の必死さが気になって仕方なかったものの、その甲斐あって非常に心に残る一曲に。ご苦労様です。また、“stand alone”のB面に収録された“back to”もイイ感じで、リズム隊のタイトなグルーヴが前に出たこれまでになくアーバンなサウンドがかなりクール! この曲は個人的にかなりお気に入り。
終盤では、メンバーではなく……いや6人目のメンバーであるCICADAマネージャー氏が感極まって涙するという、ここに至るまでの氏の尽力を思うとグッとくるハートウォーミングな瞬間もありつつ、城戸が〈みんなをもっと大きいステージに連れて行く〉と力強く宣言! それもそのはず、来年5月には初の東京・渋谷CLUB QUATTROでのワンマン公演が決定したそうだ。この日の堂々たるパフォーマンスを観れば、そんな着実なステップアップも頷ける。“stand alone”然り、今回聴くことができた新曲群からも彼らの音楽的なプログレスが感じられるので、5月のQUATTRO公演ではぜひ新作を引っ提げたステージを観たいものだ!
【SETLIST】
1. intro
2. ふたつひとつ
3. No border(未発表新曲)
4. Colorful
5. FLAVOR(未発表新曲)
6. Bomb track(未発表新曲)
7. アウトライン
8. Naughty Boy
9. 君の街へ
10. back to
11. 夜明けの街
12. 熱帯魚
13. up to you
14. stand alone
15. Dream on(未発表新曲)
EN. door
≪CICADAからのお知らせ≫
★CICADA連続ツーマン・イヴェント〈DETAIL〉
2016年1月から4月までの4か月間、マンスリー・ツーマン・イヴェントを開催! 第1弾の詳細は以下。
〈CICADA presents "DETAIL" act.1〉
2016年1月8日(金)@東京・代官山LOOP
開場 18:30/開演 19:30
出演:CICADA/Seiho/Hisashi Saito(SIDE STAGE)
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★CICADA One man show "Absolute"
2016年5月26日(木)@東京・渋谷CLUB QUATTRO
開場 18:30/開演 19:30
料金:前売 3,000円/当日 3,500円(1ドリンク別)