ベルリンのヴァイナル専門レーベル、モンキー・セックスを主宰するマックス・グレーフグレン・アストロのコンビによるアルバム。各々のソロ活動はハウス中心にやっていますが、このコンビ作は、ニンジャ・チューンからということもあってか一筋縄では行かない出来映えです。サグ&ロウなビートメイクで、ヒップホップやジャズ、ビートダウンなどの境界線を自由に跨いでいて痛快。一曲の中にさまざまな展開を用意し、音の抜き差しやエフェクターを駆使した場面転換には常に気を抜けないドキドキ感アリ。シンセやエレピでメロディアスな雰囲気も出しているため、全体的に雑多な感じはなく、聴いた後にディープな印象を残すあたりに彼らの真骨頂があるんじゃないかと。編集センスだけじゃなく根底に流れるドロッとした感触に魅力を感じます。かつてこの手のビート実験の主戦場はLAにあったものですが、デトロイトでもNYでもなく、いまベルリンから次世代が出てくるあたりが新潮流でしょうか。これはおもしろい。