第68回カンヌ映画祭ある視点部門グランプリを受賞したアイスランド映画。40年間互いに口をきかない兄弟が羊を媒介にお互いを認め合うストーリーと言うだけで心を惹かれる。広大な自然と裏腹に描かれる人生の辛さやもどかしさ等は、どこかケン・ローチ監督の諸作を想起させられる。本作を監督したグリームル・ハゥコーナルソンの長編2作目と言うことにも驚いたが、何より互いに口をきかない兄弟と言う設定上、台詞で説明することができない難しさを見事に描ききっている。話題となった本作のラストも、あえて観客に委ねることで、この映画の持つ印象をより深いものにしているのではないだろうか。