先月リリースされたチャン・ギハと顔たちのニュー・アルバム、正式なタイトルは『내 사랑에 노련한 사람이 어딨나요』。和訳されたものによると〈自分の愛に手慣れた人がどこにいますか〉……はて? Google翻訳(ではないはずだけど)を思わせる解せない日本語になっているので、これはメンバーに訊くのがいちばんだ!と、バンドのギタリストでアルバムのプロデューサーでもある長谷川陽平氏に尋ねてみたところ、〈難しい〉と一言。いやいや、そこをなんとかお願いしますよ!ということで無理やり訳していただき、〈僕への愛のヴェテランはどこにいるの、かなぁ〉という回答を得る……しかし難しい。おそらくこれを理解するためには、さまざまな文脈を踏まえなければならないのだと思い、友人でもある優秀なブレーンを頼ってみることに。
優秀なだけあり、すぐに表題曲のリリックからそのニュアンスを解読してくれた。それによると、他人の恋愛にはいろいろ助言できるものの、自分では〈面倒だから恋愛なんてしないし〉と言っちゃったりする人も、内心では〈自分だってそんな恋愛したい!〉〈怒ってるんだから私が許すまで反省しなさいよね!とか相手に言ったりしたいし!〉と思っていて、〈はぁ、私のこういう感じをわかってくれる人はどこにいるのよ〉――という歌なのだとか。そういった心情を踏まえて、〈僕の愛をちゃんと理解できる人はどこにいるの?〉というタイトルなのではないかと。ほほう。
タイトルの解読だけでだいぶ文字数を使ってしまったが、こういった恋愛の話をチャン・ギハ氏が大々的に歌詞にしたことはこれまでになかった!と本国では話題だという今回のアルバム。どこか抜けた感じのエキセントリックなヴォーカル・スタイルやコーラスの妙は健在ながら、全体的になんだか優しい。性急なロックンロールもあるけど、際立ってメロディーが穏やか&レイドバックしている印象で、それが音数も抑えめでふくよかなサウンドを導いているような気がする。ミュージック・ビデオになっている“가장 아름다운 노래 (もっとも美しい歌)”は牧歌的ですらあるミディアムだし、終盤の“살결 (素肌)”“오늘 같은 날 (今日みたいな日)”あたりはオケを抜いたら子守唄みたいだ。
そんなこんなで、MVは先の“가장 아름다운 노래 (もっとも美しい歌)”含めて収録曲3曲が公開中。フックの効いたアップ“빠지기는 빠지더라 (消えるのは消えるさ)”はもちろん、カラオケ・ビデオ風の映像が笑える“ㅋ (笑)”はチャンオルらしい〈抜け感〉がイイので、ぜひ聴いてみてほしい。そしてもちろんアルバムを引っ提げた来日公演にも期待したい!
パフォーマンス映像もいくつかあがっているので、ついでに。