梅雨前線も吹き飛ばす鋼鉄連載〈OSHIETAL〉の時間だぜ! 今回は一足早くオリンピック気分に浸るべく、開催国ブラジルの注目株、ウアスカをオシエタル!  日系のラファエル・モロミザト(ヴォーカル)を中心とするこの5人組は、2002年にサンパウロで結成。2006年のアルバム・デビュー以来、ゴリゴリのメタルにボサノヴァを融合するという前代未聞のスタイルで、ジワジワと支持を拡大していく。そしてロンドン五輪の年に発表した前作『Samba De Preto』では、何とエウミール・デオダートをゲストに迎えてしまったのだ!

HUASKA Fim Tratore/ライス(2016)

 しかし、こんなのはまだ序の口。先頃リリースされた4枚目のニュー・アルバム『Fim』では、エリス・レジーナの歌唱で有名な“Canto De Ossanha”をカヴァーしたかと思えば、ノルデスチ地方の伝統音楽によく見られるアフリカ系のリズムを採り入れてみたり、凄まじいミクスチャーぶりを披露しているじゃないか! 癒し系のニュー・メタルとでも言おうか、サウダージ感溢れる歌声と重く歪んだギターのギャップに失神寸前だぜ! ブラジルと言えばセパルトゥラネルヴォサなどメタルの名産地として知られているが、その多くがアメリカナイズされたバンドだったよな! いや~、ここまでご当地色を出しているヤツらは他にいないんじゃないか!? あっぱれ! 金メダル! つまりは『Fim』を聴かずしてメタルをカタルべからずなのだ!