ウィルコでも活躍するギタリスト、ネルス・クラインがブルーノートと契約しての初作は構想25年超、2枚組の一大コンセプトアルバム。着想時より決まっていたというロマンスに溢れたタイトルの本作はマンシーニやギル・エヴァンスなどからインスパイアを得た、所謂「ムードミュージック」のネルス流新解釈。自作曲と、ジミー・ジュフリーからソニック・ユースまで幅広く彼の個人史ともフィードバックするカバー曲をマイケル・レオンハートを指揮/編曲に迎えたオーケストラルサウンドとともにジャズ~映画音楽~エキゾ間を行き来すれば、何とも不思議な妖気が香り立つ。とても奇妙かつ美しい問題作。