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WHAT’S EASYCORE?

A DAY TO REMEMBER
NEW FOUND GLORY

 パンクのサブ・ジャンルとして2010年前後にキッズの間で浸透した〈イージーコア〉。その起源は2008年にニュー・ファウンド・グローリー(以下NFG)が行った〈The Easycore Tour〉にあり、同ツアーには後に〈イージーコア御三家〉と言われるようになるフォー・イヤー・ストロング、セット・ユア・ゴールズ、ア・デイ・トゥ・リメンバー(以下ADTR)が帯同していた。ポップ・パンクの明るいメロディーに、ハードコア/メタルコア由来のシャウトとブレイクダウンを混ぜたもの――大まかな音の特徴はざっとこんな感じだ。時代的にパンク人気が衰退し、テクニック重視のメタルコアが勢いを増していた頃。そうした背景を受け、ポップ・パンクのキャッチーな魅力をメタルコア好きにもアピールしよう、という狙いがNFGにはあったのだろう。で、これが大当たり。アンダーグラウンドを中心に注目を集め、先述したUS生まれの御三家のほかにも、フランスではチャンク!ノー・キャプテン・チャンク!が、UKではミーVsヒーローなどが躍動。昨年あたりから表面化してきたパンク・ブームは、彼らが地下でその火種を守ってきたからこそ、なのである。

A DAY TO REMEMBER 『Bad Vibrations』 ADTR/Indianola/ワーナー(2016)

 というわけで、本特集に〈おっ!〉と思った方は、ぜひADTRのニュー・アルバム『Bad Vibrations』をチェックしてみてほしい。今回も期待を裏切らない仕上がりで、一度聴いたら覚えてしまいそうな明るい歌メロに、ゴリゴリのリフや豪快極まりないブレイクをブチ込み、陰と陽のコントラストをダイナミックに描いている。もし友達に〈イージーコアって何?〉と訊かれたら、迷わずこれを差し出せばいい。 *荒金良介