吉田豪による、Negiccoの2年間を振り返るロング・インタヴュー。この後編では、2015年に同郷・新潟に誕生したNGT48への印象や、〈T-Palette感謝祭〉にまつわるエピソード、さらに今後の活動へのポジティヴな見通しなどを語ってもらった。 *Mikiki編集部
私、Nao☆ちゃんからTwitterでブロックされていて(Megu)
――この2年だとマツコ・デラックスが絶賛というのもありましたね。2015年のNGT48発足のときに、〈新潟はNegiccoががんばってるのに!〉とひたすら説明していて。
Nao☆「覚えててくださったんだ、と思いました。そういう感情で見てくださっていたのが嬉しかったです。マツコさん、NegiccoのCDを買ってくださったみたいなんですけど、どうだったのかな」
――AKB48の総選挙も新潟で行われたし。相乗効果でプラスになることもあるんでしょうけど、やっぱり意識します?
Nao☆「意識しても、こっちはお金もないですし(笑)。私たちが何年も積み上げて、やっとCMにチョコチョコ出られるようになってきたのとは全然違うというか。TVで見ない日はないですからね」
――地元だと、もうそのレヴェル。
Kaede「地元企業のCMが結構多いんですよ。新潟駅にもAKB関連のポスターが増えて」
Nao☆「でも、やっぱりNegiccoをずっと応援してくれている人たちはすごい財産だと思う。NGT48さんがすごいのは、あれだけ大人数の女の子がいて、総選挙があって、でも結果はいろいろだし、大変な世界で闘っているんだろうなと思えるところ。メンタルが強くないとダメだろうし、いろんな気持ちを持ちながら、メンバーの皆さんはがんばっているんだろうな」
――前もそんな話をしてましたよね、もしNegiccoに選挙制度があったらって。
Nao☆「選挙って言われた瞬間に辞退します(笑)」
――この2年間でメンタルは強くなりました?
Nao☆「波があります(笑)。Twitterには出さないようにしてますけど、1回ヒートアップしたときに、皆さんを心配させてしまったことがあったんです」
――ここ最近もヒートアップ期がありましたね。みんな心配していましたよ。
Nao☆「バレてる(笑)。久しぶりにウッとくることがあって。普通のことを書いたのに、〈そういうこと言ってるヤツは有名になれねえんだよ〉みたいなリプライが来て、ふざけんなと思って、つい反論しちゃったんです。でも、言っちゃった人に申し訳なくなって、〈すみませんでした〉とその人に送ったんですけど……。やっぱり波はあるよね」
――心配になって連絡したら返事がないという初めてのパターンで、大丈夫なのかなとホントに思っていました。
Nao☆「かなりヘコんでましたね。いつも豪さんはすぐに連絡をくださるから、〈あ、しまった!〉と思って。ヒステリックNao☆になっちゃった」
――そういうとき、お2人はどうするんですか?
Kaede「(そういうときに限って)一緒にいなかったりするんですよ」
Megu「うん、夜だったから、その状況がわかんなくて。ファンの人から〈Nao☆ちゃんがいま大変だから、支えてあげてね〉みたいなリプが来ていたけど、なんのことかわかんなくて」
Kaede「たまに来るよね。〈Nao☆ちゃん、辛いみたいだから〉とか」
Megu「そしたら、私ブロックされていて(笑)」
――そんな事件があったんですか!
Nao☆「すごく嫌なことを書かれていて、ブロックしようと思って押したら、間違えてぽんちゃ(Megu)のこともブロックしちゃったみたいで(笑)」
――えー!
Nao☆「自分からぽんちゃをブロックするようなことはしません!」
Kaede「ぽんちゃと2人きりのときに、〈Nao☆ちゃんからブロックされてる……〉と言われて(笑)」
Nao☆「そのあとフォローし直して、ぽんちゃに〈すみません、私のことフォローしてください〉と言いました(笑)」
――SNS自体が苦手というか。だってパスワードも忘れる人ですからね。
Nao☆「はい。〈パスワード忘れちゃった。ぽんちゃ、知らない?〉と訊いたら、〈私がパスワード知ってたらヤバイでしょ〉と言いながら、〈これ?〉〈違う〉〈これ?〉〈違う〉〈これ?〉〈入った!〉という感じで、ぽんちゃが解いてくれて(笑)」
――他人が推測できるようなことをパスワードにすること自体がダメなんですよ。
Megu「すごい単純でした(笑)」
――誕生日とかをパスワードにしちゃうタイプなんでしょうね。
Nao☆「え! 誕生日を入れちゃいけないの?」
Kaede「ダメでしょ!」
――いちばんダメですよ!
Kaede「〈誕生日をパスワードにするのはやめてください〉と書いてあるよ」
――誰かの誕生日にするんだったらまだいいですけど。
Nao☆「え……マジで?」
――いまのうちに直したら、ギャグとして原稿に出せるんで、すぐ直してください!
Nao☆「リアルの誕生日はマズイのか……」
〈ポケモンGO〉はやってません!(Nao☆)
――2年前のインタヴューで印象的なのが、皆さんが金銭的な問題で異常にスイッチが入っていたことなんですよ。
Megu「ああ、老後が心配とかいう話ですね」
――保険の話とか。
Nao☆「保険、どんどん高くなってくるんだもん」
――突然〈政治家はお金もらってるのに!〉みたいな政治家批判が始まって(笑) 。
Nao☆「そうだよ、政治家は(お金)もらいすぎなんだよ!」
――またスイッチが入った! そのへんも変化はないですか?
Nao☆「最近はどうかな。お金はないといったらないんですけど。こうやって6日間ぐらい東京で活動するとなると、食費や細かいお金が必要になりますね」
――でも、将来ホームレスになるかも、みたいな不安はなくなった?
Nao☆「なったらよろしくね、とは言ってるんですけど」
――まだ言ってるんですか(笑)。
Nao☆「〈どうなったらホームレスになるんですか?〉と熊さん(熊倉維仁/マネージャー)に訊いたら、〈仕事も何もしたくないと思ったら終わりだ〉と言っていて、それはないから大丈夫かなと思います」
――それなら、なんとかなりそうだと。
Nao☆「渋谷にすごく良い陣地を作っているホームレスの方がいて」
――良い陣地を作っているホームレス!
Nao☆「タワレコさんの横をまっすぐ行った駐車場に、すごく良い陣地の人がいて」
――都心の一等地に(笑)。
Nao☆「結構なヴェテランじゃないと、たぶんあそこには作れない」
Kaede「熊さんが、縄張りがあると言ってたよね」
――ボクの家が新宿御苑のすぐ横で、いま〈ポケモン GO〉で人がすごく集まってるんですよ。だったら、新宿御苑で寝ているホームレスの人にiPhoneを渡して、ずっとやってもらうバイトでも頼んだら良いんじゃないかと思って。
Kaede「確かに!」
Nao☆「新宿はいっぱいポケモンいるんですか?」
――御苑にピカチュウが何匹もいるんですよ。
Megu「ピカチュウはなかなかいないんですよ」
――〈ポケモンGO〉はやってます?
Nao☆「やってません! 最初は周りの人に迷惑をかけるものだから、そういうものを作るのはいかがなものかと思ってたんですけど」
――ああ、作る側に対して。
Nao☆「はい。かえぽ(Kaede)はちゃんとした使い方ができる子だから大丈夫だろうなと思うけど。でも、〈ポケモンGO〉で親子の会話が弾んだというのをTVで見て」
――引きこもりが外に出るようになったとか。
Nao☆「あと、お家にいたお母さんが外に出て、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいに近所の人とお話をする雰囲気になっているのを見て、良いなと。パパが子供にちゃんと〈歩きスマホは良くないよ〉と言ったり、子供が〈いま歩きスマホになっちゃってるから、渡ってからやろう〉と言ったりしているの見て、すごく感動しました!」
――良い話じゃないですか! Negiccoが時事問題を語るのはおもしろいですね。
Nao☆「あ、でもこの間Negiccoのライヴに、〈俺ずっと引きこもってたんだけど〉という人が来ましたよ」
Megu「うん、外に出てきて良かったって」
Kaede「すごく楽しかったと言ってました」
Megu「その人のときだけチェキを撮ったら写真が出てこなくて、もう一回チャンスがあったんですよ」
――チェキも引きこもってたんですね(笑)。
Megu「そしたら〈やったー、今日出てきて良かったわ〉と喜んでくれて。ずっとNegiccoを応援してくれていたみたいなんです」
――リアル在宅だった(笑)。
Megu「リアル在宅だったんですけど、ちゃんと来てくれて」
――人を変える力にはなっているわけですね。
Nao☆「嬉しかったです!」
――最近だと、宇多丸(RHYMESTER)さんが最新作『ティー・フォー・スリー』(2016年)を大絶賛していて、BUBKAで連載している「マブ論」では、Tomato’n Pineの作品と並ぶ高得点を与えていました。
Megu「その回の『マブ論』は、紹介しているのがNegiccoだけだったんですよね」
――そうです。宇多丸さんはどんなにNegiccoががんばっても4.6点しか付けないことにコンバットRECが絡んだとき、〈4.6は最高点なんだよ! 残りは俺がファンかどうかだ!〉と言っていたらしい。その宇多丸さんが4.7を付けたわけで。
Kaede「すごい!」
Nao☆「宇多丸さんは、会うたびにNegiccoの曲をどんどん好きになってくださっている感じがします」
――かつてベスト・アルバム『Negicco 2003~2012 -BEST-』(2012年)の帯文を書いたときよりも。あと〈T-Palette感謝祭〉の腕相撲大会でNegiccoが意外な強さを発揮したこともありました。
Nao☆「でも、もう森ティ(森咲樹/アップアップガールズ(仮))には絶対に誰も勝てない」
――別格になっちゃいましたね。
Nao☆「もう絶対に勝てません!」
――完全にそれ用に鍛えてる人ですから。1年目はまだナチュラル・パワーである程度まで行けましたけど。
Nao☆「ホントにどんどんレヴェルが上がってきてて、前回やったときにもう勝てる者は誰もいないって思いました」
Megu「殿堂入りだよね」
――ですね。別枠にしないと。佐保さん(佐保明梨/アップアップガールズ(仮))あたりだったら、ちょうどいい感じの戦いができると思うんですけど。
Nao☆「佐保ちゃん、前回は勝ったんだっけ?」
Kaede「負けちゃった」
――1年目に惨敗して、ひたすら腕相撲のトレーニングを積んで。あの日もバックステージでトーナメント表をずっと睨みつけて、前を通る人の腕をじっと見て、ひたすらテンションを高めて試合に挑んだら、1回戦で負けて号泣という(笑)。
Nao☆「なんかあるんだろうね」
Kaede「コツがあるらしいね」
Nao☆「あと、もともとの筋力とか」
Kaede「ハウプトさん(寺田珠乃/Hauptharmonie)も強かったですね」
Nao☆「やってみたかった。どんな感じ?」
Kaede「もうバンッ!て」
――ああいうアイドルのガチ勝負って本当に楽しいんですけど、腕相撲だとそんなに殺伐とした感じもないし、平和でいいんですよね。本気で戦っていても嫌な感じが出ない。
Nao☆「〈Tパレ〉祭はすごくおもしろい。最後に歌う曲がいつもクォリティーの高い選曲なんです。〈飛んで飛んで飛んで〉とか(笑)」
――円広志の“夢想花”! 大阪でやったときの大阪コラボは大失敗でしたけどね。
Nao☆「あれ最悪でした! リハで歌ったらキーが合わなくて。“大阪LOVER”を歌いたかったな。でも、それさえもTパレの完成されすぎていない、ほんわかした感じなのかなって」